研究課題
拡散MRIによる脳画像解析は、中枢神経疾患での組織微細構造の変化を鋭敏に捉え、臨床的重症度とも相関するとの報告が多くなされてきた。その一方で、従来の拡散MRI(single diffusion encoding, b値2000-3000s/mm2まで)においては、複数の異なる組織微細構造においてMRI信号の挙動が完全に同一になる、つまり、異なる構造どうしを区別できないケースがある、ということもよく知られるようになった。本課題の主目的は、この問題に対応するため、従来法の範囲を超えた撮影の有用性を探索することにあった。最終年度は、自施設で症例が豊富なパーキンソン病を対象として、画像の取得と解析を行った。本課題開始後に報告された知見も踏まえて、撮影法としてはdouble diffusion encoding(b値2000s/mm2)までを選択した。組織のモデルとしてはdiffusion tensor distribution modelを採用し、Westinらが提案しているcovariance tensorを用いた方法で解析を行った。結果、従来法で報告されてきたmean kurtosisの低下は、主に組織微細構造の「カタチ」のパラメータの変化(いわゆるmicroscopic anisotropyの低下)によるものであることが分かった。また、microscopic anisotropyの低下は臨床的な運動障害の重症度(UPDRS-3)と相関を示した。mean kurtosisに影響する組織の特性は様々だが、その中でより直接的に障害と関係するパラメータをdouble diffusion encodingによって抽出できる可能性がある。これらの結果について英文誌に論文投稿を行い、採択・掲載された。
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