研究課題/領域番号 |
18K07730
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
和田 昭彦 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90379686)
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研究分担者 |
堀 正明 順天堂大学, 医学部, 客員准教授 (40334867)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / 口腔内灼熱症候群 / 舌痛症 / 拡散テンソルMR画像 / 脳ネットワーク / グラフ理論解析 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性疼痛に関連した脳ネットワークの可視化、とくに下行性疼痛抑制系に関して、症状の重篤度との関連、治療効果の評価およびその事前予測の可能性を追求することである。 本研究期間の検討にて、140例の慢性口腔内疼痛疾患(舌痛症、口腔異常感症、非定型歯痛)の臨床データおよび頭部MRI画像データを収集。拡散テンソルMRトラクトグラフィを用いた構造的脳ネットワーク解析を用いて、侵害刺激の伝達・処理システムである疼痛関連領域(ペインマトリックス)および、中脳にある中脳中心灰白質(脊髄の疼痛信号入力の抑制)の結合性(コネクティビティ)を検討した。拡散テンソル(神経線維路)解析、ペインマトリックスのネットワーク解析(グラフ理論解析)、これに機械学習(人工知能技術)を応用したネットワーク隣接行列の認識・分類では、慢性疼痛関連の脳内ネットワーク解析は可能であったが、下行性疼痛抑制系に関しての疾患群と健常者、疾患内での病型・臨床経過の分類では当初目標とした分類精度には到達できなかった。 付随研究として、歯科心身症のうち舌痛症とそれ以外の疾患を対象に、脳内ネットワークの違いまた特徴量で病型鑑別が可能であるかをグラフニューラルネットワークという新たな手法の導入を試みた。結果としては、全脳ネットワークの比較、舌痛症群では帯状回(右)、扁桃体(左)、中心後回(右)の慢性疼痛関連領域で次数中心性が低値、中心前回(両側)、扁桃(左)、中心後回(左)、頭頂葉(左)で隣接中心性が同じく低値であった。慢性疼痛関連17領域のサブネットワーク解析では、中心後回(両側)、帯状回(右)、島回(左)、扁桃(右)に固有ベクトル中心性の差があることが判明した。これらの特徴量での2群識別を試みたが2群の明瞭な識別には至らなかった。本結果は第51回日本磁気共鳴医学会大会にて、口演発表した。
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