研究課題
平成30年度は、東京女子医科大学病院に通院し、診断ガイドラインにより心サルコイドーシスと診断された患者、及び、他臓器でサルコイドーシスと診断され、心サルコイドーシスが疑われている患者を選択し、登録を開始した。心臓MRI検査を治療前、治療後、follow up期間に施行し、病状とともに経時的変化の経過を追っている。心臓MRI検査では、シネ画像、T1、T2マッピング、遅延造影像などを撮像し、心機能の定量評価、心筋障害の程度の評価のため解析を行っている。新規に治療を開始する症例に対して、治療前および治療後の評価を行っているが、まだ対象症例は多くはなく、少数例にとどまっている。また、疾患活動性および病態評価のため心臓MRI検査を施行し、かつFDG-PET検査も施行したサルコイドーシス症例において、FDG-PET陽性例を活動性ありと定義し、FDG-PET陽性群と陰性群において、T2マッピングについて検討した。左室中部の中隔部位のT2値を測定し、比較検討したところ、少数例での検討ではあるが、FDG-PET陽性群では陰性群に比べて、有意にT2 値が高値であった。preliminary dataであるが、第83回日本循環器学会において、この結果につき報告した。この結果は、サルコイドーシスの疾患活動性をT2マッピングからえられるT2値で定量評価しうる可能性を示唆している。今後、多数例において検討することで、cutoff値の設定ができれば、造影剤を使用せず、放射線の被ばくなく、非侵襲的に活動性を評価する指標となりうる可能性があると考えている。
3: やや遅れている
当初想定したよりも、新規の心サルコドーシスの患者が少なく、登録に至る症例数がまだ十分ではないため、リクルートする患者をふやすよう努力している。また遅延造影による心筋障害の定量評価、ストレインによる心機能の解析については、現在行っているところである。
新規の心サルコイドーシス患者の登録に努める。心外病変で発症したサルコイドーシス患者においても、必要に応じて、心臓MRIによる心病変の有無につき評価を行う。また新規発症患者の数が限られているため、すでに心サルコイドーシスとして治療をうけている患者において、病態の経過観察として心臓MRIが行われているため、再燃時の病態評価,再燃の診断におけるT1, T2マッピングの意義や有用性についても検討する。
当該年度では、解析ソフトウエア、パーソナルコンピューター、プリンタ等を購入予定であったが、ソフトウエアのバージョンアップの予定があり、新しいバージョンのソフトウエアにあわせて、コンピューターを選定した方がよいと判断し、購入は行わなかった。次年度に購入予定である。
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Heart and Vessels
巻: 33 ページ: 1086~1093
10.1007/s00380-018-1144-2
JACC: Cardiovascular Imaging
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.jcmg.2018.08.021