研究実績の概要 |
2019年1月までの間に、膀胱癌に対して造影MRIを施行された28名の患者について、VI-RADS(vesical imaging-radiology and diagnosis system)を基準に、前向き検討でそれぞれのSequenceでTUR-BTでの病理診断結果と対比して感度、特異度、正診率を算出検討した。T2強調画像の(感度、特異度、正診率%)は(88.9,89.5,89.3),拡散強調画像は88.9,100,96,4)、造影ダイナミック画像は(88.9,94.7,92.9)であり、総合VI-RADS評価は(88.9,94.7,92.9)であった。ROCのAUCはT2強調画像0.965, 拡散強調画像0.947, 造影ダイナミック画像0.965, 総合評価0.974であった。 1)VI-RADSのカテゴリー4以上を筋層浸潤ありとした場合、比較的良い正診率が得られた。2)VI-RADSのカテゴリー3の症例は、筋層浸潤がない傾向であった。3)VI-RADSのカテゴリー5 では、TUR-BTによる深達度診断を省略できる可能性あり。4)T2WIや造影T1WIのみではover staging と なる場合がある。5)DWIでは under stagingとなる場合もある。 などの知見が示され、さらなる症例蓄積が必要と考えられた。この研究は第2回VI-RADS研究会(2019年2月18日、大阪)で共同研究者の重里寛が発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記5のように、症例の集積は順調で、同時に国際的なVI-RADSの公知、評価が世界各国で行われている。 泌尿器科医、病理医、放射線診断医で適宜カンファレンスを行い、腫瘍の切片と筋層切除の深さについて検討を加えている。本研究に関する発表を多数行い,または最新の情報を交換するため,内外の学術集会に参加した。 まずVI-RADSの認知ために大阪の腹部IVR 研究会(2017.12.09)、2018年6月鎌倉の日本腹部放射線学会を始め、2018年9月のBarcelonaのESUR(European Society of Uroradiology),同年11月のChicagoでのRSNA(Radiological Society of North America),2019年3月の米国ScottsdaleでのSAR(Society of Abdominal Radiology)でVI-RADSの世界核国へのintroductionを行なった.今年5月、中国の成都での招待講演で、ヨーロッパ、米国のみならず、中国、韓国などアジアの放射線科医、泌尿器科医からのVI-RADSの評価が行われる予定である。これらの発表が研究を加速し、各国のvaridation studyとも相俟って膀胱癌の筋層診断のMR画像および膀胱鏡下評価に前向きな議論が始まっている。
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