研究実績の概要 |
我々はこれまでに食道扁平上皮癌KYSE-450, OE-21に対し、Clinac® iX Systemを用いた60Gy/20frのX照射を行い、その経過のtranscriptome (RNA-seq)をipathwayguideを用い解析した。その結果、IRF-1, PD-L1をはじめとした免疫応答遺伝子の強い活性化が示唆された。30年度研究として我々はtranscriptome解析で明らかとなったSTING, IRF1, TypeIインターフェロン応答についてウェスタンブロッティング、ELISA、フローサイトメトリーを用い、たんぱく質レベルで検証を行った。その結果、およそ15Gy/5fr照射後よりたんぱく質レベルでSTING、IRF1、IFNの増加、STATシリーズのリン酸化が生じることが明らかとなった。 次にこれらの免疫応答制御遺伝子の候補としてSTING, IRF1, STAT1等を対象とし、KYSE-450、OE-21の細胞株に対してCrisper/Cas9を用いてノックアウト細胞を作成した。その後各細胞株に対してシークエンスを行い遺伝子欠損を確認した細胞株をそれぞれ樹立した。現在それぞれの遺伝子欠損株に対して放射線照射後の免疫応答を解析しており、放射線による免疫応答の制御因子を確認している。 さらに本研究では細胞株実験のvivoレベルでの検証を行うため、放射線治療対象の食道扁平上皮癌患者に対して放射線治療前、治療中で生検を行い、遺伝子発現変動をIHC, RNA-seqで行う前向き観察研究を計画し、2018年末にIRB承認、2019年3月より開始、現在1症例が登録となっている。
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