研究課題/領域番号 |
18K07741
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
岩岡 和輝 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線防護情報統合センター, 主任研究員(定常) (70466051)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 線量評価 |
研究実績の概要 |
原子力発電所事故や放射線災害等により大気中に放射性物質が放出され、呼吸によって体内に取り込まれ内部被ばく(吸入被ばく)する。そのような被ばく者に対して適切かつ迅速な処置を実施し、人体への影響を最小限に抑えるためには、吸入被ばく線量を正確に評価することが重要となる。実際の大気環境中では、放射性物質は大気中の微粒子(大気中に存在する様々な大きさの粉塵)に付着し大きさが多様に変化する。したがって、多様な大きさの放射性物質が存在する環境下(すなわち実環境)における吸入被ばく線量を計算できるコードの開発が急がれていた。本研究は、吸入被ばく線量評価を正確に実施することを目的に、吸入する放射性物質の形態(粒子の大きさ)に応じた吸入被ばく線量を計算するツールを新たに開発するものである。このツールの活用によって、大気環境中の放射性物質の計測を行う実験系研究者(線量評価の専門家でない研究者)であっても自身の測定データから実環境に応じた線量を容易に計算できるようになる。 実験に関しては、研究代表者がこれまで実施してきた放射性物質の形態研究や線量計算のシステム化の知見や経験をもとに本ツールの開発を進める計画である。本年度は、国際放射線防護委員会(ICRP)の呼吸気道モデルなどを参考にして開発した計算ツールについて、成果を論文として発表した。次年度以降に、開発した計算ツールを実証するために、実環境中でエアロゾルの測定を開始する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ICRPの呼吸気道モデルを参考にして開発した呼吸気道部位別の沈着割合を計算するツールについて、成果を論文として発表した。これらの成果を活用して、実証のためのエアロゾル測定を次年度に実施できるようになった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は実環境においてエアロゾルを測定し、環境に応じた本ツールの実証を行う予定である。その際、最新のエアロゾル測定装置を活用することにより予算の効率的な使用を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本調査を進めていく中で、既存の資材を活用しながら進めたため次年度使用額が生じた。その予算は、本研究を進める中で必要となった旅費や消耗品費等の経費に使用する予定である。また、得られた成果を発表するための経費として使用する予定である。
|