研究課題
臨床用最新MRIシステム(フィリップス社製3TMRI装置)を用いて,拡散強調画像を含むMRI撮像を術前に行った.46例程度で画像と病理の比較を行った.標本には,乳頭近位点と乳頭から一番遠位点に色素によるマーキングを行った.撮像断面は2つの点を結んだ線に対し垂直になるよう選択し,病理では,拡散強調画像と同じ断面になるように切り出しとプレパラート作製を行った.バーチャルスキャナ(浜松ホトニクスNanoZoomerSQ, 現有)によるプレパラート全体の高分解能デジタル画像保存を行い,病理医の視覚評価で腫瘍部を抽出した.サイトケラチン免疫染色を行い,マッピング図に抽出した腫瘍部を融合し,標本拡散強調画像と病理を1対1で対比した.サイトケラチン免疫染色では強拡大で間質,細胞質,核を水色,茶色,紫色として同定し,色味の記録を行った.弱拡大の腫瘍全体に対して,間質,細胞質,核の面積を算出し,それぞれの面積比を求めた.細胞,核はそれぞれの個数,面積も算出した.正常乳腺,非浸潤性乳管癌および浸潤癌の病変部の標本拡散強調画像の視覚的信号およびADC値を求め,正常乳腺と比べ腫瘍部を正しく判別できるかを検証した.今年度はさらに,低b値を用いたIntravoxel incoherent motion (IVIM) parameterとnon-Gaussian分布に基づくkurtosisを算出した.病理学的な細胞質面積比,核面積比,間質面積比,リンパ球面積比,血管密度,およびentropyとの相関を確認した.kurtosisは核面積比とentropyとの有意な相関を認めた.