当該年度はCT撮影後の線量評価法として,前年度に開発したDual-energy CTを想定した線量計算プログラムをさらに発展させた,Rapid kV switching方式およびDual-source方式のDual-energy CTに対応した線量計算プログラムの開発を行った。 Rapid kV switching方式のDual-energy CTにおける線量計算プログラムは,管電圧80kVと140kVの照射割合を2:1,それぞれの管電圧におけるX線管1回転あたりのプロジェクション数を24に設定して構築した。Dual-source方式のDual-energy CTにおける線量計算プログラムは,直交して配置した2つのX線管からそれぞれ管電圧100kVのX線と管電圧150kVにスズフィルタを付加したX線を出力させ,管電流の割合は2:1,それぞれの管電圧におけるX線管1回転あたりのプロジェクション数を24に設定して構築した。CTDIwを基準とした実測法との比較の結果,いずれも精度良く線量計算が行えていることを確認した。 また,開発した線量計算プログラムを用いて,ボクセル化した人体等価ファントムを被写体としてヘリカルスキャンを行った場合の,各部位における断面内線量分布を取得した。その結果,特にDual-source方式のDual-energy CTでは,直交して配置された2つのX線管からそれぞれX線が出力されていることに起因し,Single-energy CTとは異なる傾向の線量分布が得られることを明らかにした。製造メーカ側が情報を公開していないボウタイフィルタの組成・形状の推定精度をどのように向上させるかという点は今後の課題として残されているものの,当該年度に開発したDual-energy CTを想定した線量計算プログラムは,Dual-energy CTにおける撮影線量の最適化のために今後広く活用されることが期待される。
|