研究課題/領域番号 |
18K07754
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
久冨 信之 香川大学, 医学部, 准教授 (20552045)
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研究分担者 |
前田 幸人 香川大学, 医学部附属病院, 技術職員 (10763336)
山本 由佳 香川大学, 医学部, 准教授 (30335872)
西山 佳宏 香川大学, 医学部, 教授 (50263900)
畠山 哲宗 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (90602805)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳酸素代謝量 / 脳血流 / Oガス検査 / PET / もやもや病 / 動静脈奇形 / 定量精度 |
研究実績の概要 |
脳虚血にたいする診断法として有効とされている、PETによる脳血流、酸素摂取率および酸素代謝量定量画像などの機能画像において、もやもや病や動静脈奇形などの症例で定量精度の劣化が見られる問題にたいして、その要因の解明と補正する方法の開発を本課題の目的とした。 要因解明について、定量精度の劣化している部位に関心領域をおいて、時系列データにおいて検討したところ、脳循環における血液到達時間の遅延と解釈できる傾向が見られた。この遅延を画像データにおいて画素ごとに検出する必要のあるためその方法を開発した。すなわち、複数の血流計算法を適用して計算値として得られる血流値の相違がこの遅延を示すものとし、これらの相互の遅延をキャンセルするような遅延推定アルゴリズムを開発した。更に脳組織にたいして血管中の血液流の遅れを検出する方法として組織と血管成分を含んだ時系列データに対するフィッティングの一致度を指標とすることで、血液流の遅れを検出するアルゴリズムを開発した。 本方法に関する検討としてもやもや病(n=10)および動脈奇形(n=7)の症例データに開発したアルゴリズムによるプログラムを適用し、定量精度がどの程度改善したかに関する検討を行った。 特に血管中の遅れを検出する方法では動脈奇形部位に見られる画像上の高血流値を低減させることが可能であることが分かった。また、もやもや病においても同様に高血流値を示す部位にたいしてその傾向が改善された計算となることがわかり、更生理的に妥当な計算であることを見た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的の1つとしている、画像精度に影響を与える要因について、少なくとも血液到達時間の遅れがその1つであることが分かった、これを要因と仮定したことによる補正アルゴリズムにより定量値が、生理的に妥当なものと改善されるようであることが見られた。これらより初年度の進捗としては順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
定量精度の劣化が見られる問題にたいする要因にかんしては他の可能性もありえるため、引き続き時系列データ等による検討を継続する。 定量精度を向上させるため症例数を増加させて本方法の妥当性を検討する。 血流値と同時に、酸素摂取率および酸素代謝量の妥当性に関しても他の症例なども合わせて検討する。 シミュレーションにより、現状で定量精度劣化要因とされる遅延時間に関する影響について検討を行い、開発した補正法が妥当であるか、より効率のよい補正法可能性がないかについて検討を行い、最終的な画像の定量精度を向上させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席予定していた学会が台風のため中止になったこと、購入予定の物品が減額になったことが理由です。 より高性能の物品等を購入し、研究成果の向上を目指します。
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