研究分担者 |
坂本 勝美 九州大学, 大学病院, 助教 (50625803)
脇山 浩明 九州大学, 大学病院, 医員 (70758375) [辞退]
松本 圭司 九州大学, 医学研究院, 助教 (40467907)
浅山 良樹 大分大学, 医学部, 教授 (40380414) [辞退]
牛島 泰宏 九州大学, 大学病院, 講師 (40432934)
本村 有史 九州大学, 大学病院, 助教 (00826365)
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研究実績の概要 |
本年度は、これまで得られた被ばくデータより最終的に対象術者は計3名とし、各術者の様々なIVR手技における水晶体線量を元に本研究の課題について評価考察した。対象は、観察期間3年で計321回のIVR手技において術者の水晶体線量をICRP推奨の測定方法に準じた防護眼鏡下で水晶体専用線計(DOSIRIS, Hp(3))と従来法令上の測定法である防護眼鏡外ガラスバッジ(Hp(0.07))で評価した。結果:各術者の平均水晶体線量(mSv/月)ガラスバッジ/DOSIRISのは0.494/0.28, 0.733/0.407, 0.733/0.433.防護メガネ(東レ・メディカル株式会社製, 0.07mmPb)の遮蔽率(%)は各術者で42.7, 44.5, 40.9で、平均42.7%の被ばく低減効果があった 考察:本課題の対象術者において従来測定法ガラスバッジでの測定では、新たな水晶体線量限度(20mSv/年)を超えるものは認められなかったが、ハイボリュームセンターでは限度越え、管理区域への立ち入り制限されるIVR術者が存在する可能性が危惧された。本課題で算出された防護眼鏡の遮蔽率は40%弱で、メーカーや文献で報告されている遮蔽率60%より低かった。これは、本課題と文献では、水晶体線量測定法の相違や術者間や対象IVR手技の種類の相違によるものと考えられた。すなわち、従来法令の防護眼鏡外のガラスバッジでの水晶体線量から、文献等の画一的な防護眼鏡の遮蔽率を考慮した防護眼鏡下の水晶体線量は過小評価となる可能性が示唆された。ただし、防護眼鏡下水晶体線量を考慮することで、管理区域立ち入り制限の術者が減ることは医療現場として望ましいが、水晶体線量の過小評価の観点からは術者の長期的な健康被害(白内障)が危惧される。以上より、最終的には、防護眼鏡下で水晶体専用線量計装着による直接的線量測定が必要と考えられた。
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