研究課題
UICC(Union for International Cancer Control、国際対がん連合)のTNM分類第8版への改訂によって、頭頸部腫瘍のN分類(リンパ節転移)が変更され、節外浸潤を伴うリンパ節を有する症例はN3bに分類された。また、近年放射線治療症例において、節外浸潤を伴うリンパ節の周囲は、顕微鏡レベルの癌細胞の広がりを考慮して標的体積を大きく設定することが推奨されるようになってきている(Apisarnthanarax et al. IJROBP 2006, 日本放射線腫瘍学会放射線治療計画ガイドライン2018)。これまで節外浸潤の有無は、手術症例の術後照射に関する治療方針に影響を及ぼすのみであったため、術後の病理所見で節外浸潤の有無を評価することができれば十分であったが、今後は治療前の画像診断で節外浸潤を正確に評価する必要がある。本研究の目的はマルチモダリティイメージングと機械学習によって、放射線治療計画のための新たな節外浸潤診断法を開発することである。本年度は病理組織所見とFDG-PET画像との比較対照を行い、定量的指標であるSUVを利用した節外浸潤の診断能を評価した。更に画像認識技術を応用した自動診断技術の可能性についての検討についても実現の可能性を探索している。今後の目標は節外浸潤診断クライテリアを他にも探索すると共に、機械学習を用いて更なる診断能の向上を目指した診断システムを構築することである。
2: おおむね順調に進展している
当院での頭頸部腫瘍手術症例約100例の病理組織所見とFDG-PET画像を後方視的に検討した。定量的な指標であるSUVmaxと節外浸潤との間には相関があり、閾値設定によって高い正診率が得られることがわかった。現在、更なる診断能向上を目指し、機械学習の導入に着手している。また、画像認識技術を応用した自動診断技術について画像認識能の評価を行なっている。
節外浸潤診断クライテリアを他にも探索すると共に、機械学習を用いて更なる診断能の向上を目指した診断システムを構築する。機械学習では、節外浸潤診断クライテリア、局在等に加えて、原発巣の性状を含めた特徴量を入力データ、病理組織結果を教師データとして、分類モデルを探索する。
分担研究者が予定していた学会に出席することができなかったため。学会出席は来年度に変更し、参加予定である。
すべて 2019 2018
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Dose Response
巻: 17 ページ: 0
10.1177/1559325819832149
J Radiat Res
巻: in press ページ: in press
10.1093/jrr/rrz004
Biomed. Phys. Eng. Express
巻: 5 ページ: 035016
https://doi.org/10.1088/2057-1976/ab1054