研究課題
UICC(Union for International Cancer Control、国際対がん連合)のTNM分類第8版への改訂によって、頭頸部腫瘍のN分類(リンパ節転移)が変更され、節外 浸潤を伴うリンパ節を有する症例はN3bに分類された。また、近年放射線治療症例において、節外浸潤を伴うリンパ節の周囲は、顕微鏡レベルの癌細胞の広がり を考慮して標的体積を大きく設定することが推奨されるようになってきている(Apisarnthanarax et al. IJROBP 2006, 日本放射線腫瘍学会放射線治療計画ガイドライン2018)。本研究の目的はマルチモダリティイメージングと機械学習によって、放射線治療計画のための新たな節外浸潤診断法を開発することである。本年度は病理組織所見と18FFDG-PET画像との比較対照を行い、定量的指標であるSUVを利用した節外浸潤の診断能を評価した。節外浸潤があるリンパ節は節外浸潤がないリンパ節に比べて有意にSUVが高かった。ROC解析を行ったところ、AUCは0.913であった。カットオフ値を3.0に設定したときの診断能は感度が81.1%、特異度が94.3%、正診度が93.1%であった。これらの結果から、SUV単独でも節外浸潤に関して高い診断能を持つことが示唆された。本研究の成果は英文誌にて発表を行った(Toya et al. Anticancer Res. 2020)。また、高分解能PET装置を用いた基礎実験を行った。ボクセルサイズが4mmの画像は1-2mmの画像ではSUVが有意に低下していた。分解能に応じて適切なカットオフ値を決定する必要があることが示唆された。本研究の成果は海外学会及び英文誌にて発表を行った(Watakabe et al. The 61st Annual Meeting of the American Society for Radiation Oncology 2019, Watakabe et al. Anticancer Res. 2020)。
2: おおむね順調に進展している
節外浸潤に関して、PET画像におけるSUVは高い診断能をもたらすことが示唆された。
PET画像より医療コストがかからないCT画像やMR画像について、機械学習を用いてPET画像と同等もしくはそれ以上の診断能が得られないかについて検討する。また画像認識技術がリンパ節転移及び節外浸潤の局在同定に寄与しないかについて検討を行う予定である。
新型コロナウイルスの流行に伴い、予定していた共同研究先への出張及び情報収集がキャンセルになった。これらの活動は翌年度に行う予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件)
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