研究課題/領域番号 |
18K07765
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研究機関 | 日本文理大学 |
研究代表者 |
甲斐 倫明 日本文理大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10185697)
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研究分担者 |
小野 孝二 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (10611171)
宮嵜 治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 放射線診療部, 部長 (80278019)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CT検査 / 脳腫瘍 / 硬膜下血腫 / 放射線線量 |
研究実績の概要 |
CT線量と小児脳腫瘍の過剰発生との因果関係は、CT検査による脳の線量と検査終了から一定年数を経た後に発症した脳腫瘍との線量反応関係を統計的に推論することが先行研究で行われていて有意な関係が示唆されている。なぜ特定の子供に頻繁にCTスキャンが行われるのかの検査理由の分析は行われていないために、逆因果関係の可能性も指摘されている。本研究では、CT検査数が多くなる要因をポアソン回帰分析した結果、手術の有無で優位な違いがあった。外傷を理由にCT検査を行った小児では、手術なしで、1歳未満で平均3.9回(SD1.6)で、手術ありで、平均8.9回(SD6.4)であった。10回以上の検査を受けていた10歳未満の小児の91%が手術を行なっていた。硬膜下血腫では、手術を行うと検査件数が多くなる傾向にあった。その他の検査件数が多くなる因子として、検査開始年齢と検査期間が有意に関係していたが、検査初回時の体重の影響は認められなかった。検査開始年齢では出生から1日以内の新生児の検査が多く、検査開始が10日未満では検査件数は、手術なしでは平均4.6回、手術ありでは13.5回と、出生直後の異常を調べる検査件数が多くを占めていた。このことから検査件数すなわち線量の多寡とその後疾患との関係を結びつけることは単純にはできない。そこで、外傷でCT検査を受けることになった小児がその後の追跡検査で脳腫瘍が見つかることがあるかを調べた。初回検査の理由が外傷ではあったが、検査開始から短い期間で見つかっていることから、当初から脳腫瘍が発症していた可能性が高い症例ばかりであることが推察された。小児CT検査のうち頭部は64%を占め、そのうち48%が手術を要する疾患として実施されているため、CT線量と小児の脳腫瘍の過剰発生との間に因果関係を調べるためには、手術を要する疾患であることも考慮した分析を行う必要がある。
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