研究課題/領域番号 |
18K07766
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
吉岡 邦浩 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70210648)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Adamkiewicz動脈 / CT / 大動脈瘤 |
研究実績の概要 |
1.従来型CTの8倍の空間分解能を有する超高精細CTは、直径1mm程度の微細な血管であるAdamkiewicz動脈の評価に期待が寄せられている。本研究の目的は、胸腹部大動脈瘤あるいは胸部下行大動脈瘤の術前に超高精細CTを用いてAdamkiewicz動脈の撮影を行い、側副血行路を含めた診断精度を明らかにし、以て術後対麻痺の回避に寄与することである。 2.本年度は、昨年度までの基礎的検討で得られた最適化された撮影条件、画像再構成法を用いて対象となった症例の撮影を行って超高精細CT画像の登録を実施した。0.25mmスライス厚、1024 x 1024マトリックスのCT画像を大容量の画像サーバーに転送、保存した。予定よりも順調に症例の蓄積が進捗しており、目標の50例を最終年度までには達成できそうである。 3.症例の撮影と平行して画像の解析・評価も開始した。超高精細CT画像の画質は対象とした血管のsignal-to-noise ratio (SNR)とcontrast-noise ratio (CNR)で評価した。また、診断能は大動脈からAdamkiewicz動脈を経て前脊髄動脈至る経路の連続性に注目して、2人の放射線診断専門医が4-point scaleを用いて評価した。 4.側副血行路を有する症例は全症例の約20%に存在していた。この側副血行路は細く複雑な経路をとる場合が多いので、ここでも超高精細CTが有用と推察された。側副血行路は未解明な部分が多く、その探求は本研究の主眼の一つでもあるので、今後症例を蓄積した上で最終年度内に解析する予定である。 5.これまでの研究の途中までの成果を日本医学放射線学会、日本心血管画像動態学会と論文(和文)で発表し、情報発信を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.撮影条件や画像再構成法の最適化が予測よりも短期間で終了できたので、症例の登録を予定よりも早く開始できた。加えて症例も順調に集まっている。 2.これを受けて、画像データの解析、評価にも当初予定よりも早く取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.超高精細CTを用いた場合のAdamkiewicz動脈の診断精度を明らかにし、従来CTとの比較を行う。 2.超高精細CTを用いた場合のAdamkiewicz動脈の側副血行路の経路や診断能を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.購入したパーソナルコンピュータや画像データサーバーが予算計上していたときよりも廉価で購入できた。 2.その一方、予測したよりも大量の画像データが集まっているので、画像データサーバーを増設(あるいは新規購入)する予定である。
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