研究課題/領域番号 |
18K07772
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
唐澤 久美子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60214574)
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研究分担者 |
小此木 範之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 医長(定常) (00750572)
平野 明 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (10349665)
神尾 孝子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (20177570)
河野 佐和 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80645820)
尾松 徳彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 医長(定常) (90374280)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 炭素イオン線治療 / 早期乳癌 / 放射線療法 |
研究実績の概要 |
炭素イオン線は、線量集中性にすぐれ、生物学的効果からも有利で、X線による高精度治療と比較しても、正常組織の有害反応が少なく、高い局所効果が期待できる。申請者らは平成25年に科研費基盤(C)にて基礎研究を開始し、平成26年にⅠ期乳癌に対する臨床研究を開始し、これまでに低リスク群を中心にⅠ期乳癌22例に治療を行い良好な効果を得ている。今回の科研費基盤(C)による第I/II相臨床試験の目的は、より多くの希望する患者に本治療法を適用するために、すべてのタイプの0期・Ⅰ期乳管癌に対し、標準的補助療法を組み合わせた炭素イオン線治療を行い、その有用性を検討することである。 今年度は、研究班会議を2回開催し、炭素イオン線治療を行う放射線医学総合研究所病院(本年4月よりQST病院と改称)と共同研究機関の倫理委員会にプロトコールを計り承認を得た。また、特定臨床研究としての申請を行い受理された。本試験についての患者向けのポスターを作成し、日本乳癌学会の評議員の施設を中心に配布し症例集積を募った。 平成30年5月に第1例目、平成30年11月に第2例目と3例目の患者に対し炭素イオン線治療を行った。第I相のレベル0であり乳腺腫瘍に対し1日1回13.2 Gy(RBE)、4日間で4回、計52.8 Gy(RBE)を照射した。次いで、非浸潤性乳管癌の2例にはX線による全乳房照射を行い、浸潤癌の1例では化学療法を施行中である。有害事象は、1度の皮膚炎が2例、2度が1例であった。その他、問題となる有害事象を認めず、腫瘍の再燃や転移はなく経過観察中である。 今後は有害事象に問題がなければプロトコールに従いレベル1に移行する。症例集積を加速するためにQST病院のホームページに留まらないウェブを通しての広報を予定している。さらに症例を重ねて、経過観察期間を延ばし、QOLを含めた有用性を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、予定通り研究班会議を2回開催した。炭素イオン線治療を行う放射線医学総合研究所病院(本年4月よりQST病院と改称)と共同研究機関の倫理委員会にプロトコールを計り承認を得た。また、特定臨床研究としての申請を行い受理された。これにより、今後の研究管理体制のもとで、社会的に認知された研究となったことは大きい。 本試験についての患者向けのポスターを作成し、日本乳癌学会の評議員の施設を中心に配布し症例集積を募った。これにより、班員、知人以外の施設からも患者紹介があった。紹介患者のうち3例がプロトコールに適応し、試験参加を希望した。 平成30年5月に第1例目の46歳の非浸潤性乳管癌、平成30年11月に第2例目49歳の非浸潤性乳管癌、第3例目の57歳の浸潤性乳管癌に対し炭素イオン線治療を行った。第I相のレベル0であり乳腺腫瘍に対し1日1回13.2 Gy(RBE)、4日間で4回、計52.8 Gy(RBE)を照射した。次いで、非浸潤性乳管癌の2例には43.2Gy/16回のX線による全乳房照射を行い、浸潤癌の1例では化学療法を施行中である。有害事象は、1度の皮膚炎が2例、2度が1例であった。その他、問題となる有害事象を認めず、腫瘍の再燃や転移はなく経過観察中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は有害事象に問題がなければプロトコールに従いレベル1に移行する。 症例集積を加速するためにQST病院のホームページに留まらないウェブを通しての広報を予定している。 さらに症例を重ねて、経過観察期間を延ばし、QOLを含めた有用性を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に患者集積を加速する目的のウエブ広報活動に支出するため、今年度の支出を控えた。
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