研究課題
昨年度に引き続き、タウ蓄積を中核病変とする神経変性疾患の病態カスケードにおける神経伝達機能障害と神経炎症に着目し、ヒト変異型タウを過剰発現するrTg4510系統トランスジェニックマウスを認知症モデルとして病態の早期画像診断マーカー開発に取り組んだ。1) タウ病態に伴う興奮/抑制性シナプス障害の画像診断:前年度に見いだされたrTg4510タウトランスジェニックマウス大脳で観察されるタウ病態形成の初期における抑制性シナプスの選択的低下をより詳細に検証するため、タウ病態が興奮性ニューロン選択的に生じる事や病態早期において抑制性ニューロン数の低下は認められない事など死後脳解析を通じて裏付けが得られた。また、興奮性シナプスと抑制性シナプスそれぞれに局在するmGluR5と中枢性ベンゾジアゼピン受容体に対するポジトロン断層撮像法を平行して実施する事により、神経回路の興奮性と抑制性のバランス異常を画像診断するバイオマーカーとして活用できる事を論文報告した。2) 炎症性アストロサイトを標的とした画像評価法の開発:前年度までに進めてきたGFAPプロモーター搭載AAVによる遺伝子導入法の細胞選択性や発現効率など性能面で更なる改良を図るため、AAV血清型の違いや投与法などを検討し使用目的に応じて一定の目途がついた。また、アストロサイト活動を光イメージングにより評価する上でカルシウム以外の生理的指標をイメージング可能かなど多角的な可能性を検討した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Brain Communications
巻: 3 ページ: fcab011
10.1093/braincomms/fcab011
Neuron
巻: 109 ページ: 42~58.e8
10.1016/j.neuron.2020.09.042