研究課題
アルツハイマー病(AD)は、細胞外アミロイド-β(Aβ)プラークと過剰リン酸化タウで構成される細胞内神経原線維変化の存在によって特徴付けられる。これらのタンパク質は局所シナプス破壊に関連しているため、ADは局所シナプス機能不全を伴う切断症候群とみなすことができる。機能的磁気共鳴画像法、脳波記録、脳磁図などのいくつかの神経画像診断法を使用して、ADの脳ネットワークを研究する多くの研究によってグラフ理論解析が行われている。最近では、生理的影響を受けにくい拡散テンソルイメージングまたはT1強調イメージングを使用した構造ネットワーク解析が注目されている。 T1強調画像を使用した構造ネットワークに関するこれまでの研究は、個人全体の皮質の厚さまたは体積に基づいており、グループレベルの分析に限定されていた。しかし、最近提案された方法により、皮質の類似性に基づいた個人レベルの分析が可能になった。健常高齢者とアルツハイマー病患者との間の灰白質類似性に基づいた構造ネットワーク分析を使用して18F-THK5351保持に関連したローカルネットワーク測定値を検討した。その結果、健常高齢者群では18F-THK5351集積と有意な正の相関を示した一方で、ローカルネットワーク測定値の大部分(クラスタリング係数、特徴的な経路の長さ、次数)は、アルツハイマー病患者群で有意な負の相関を示した。この結果はわれわれが報告した自動拡散コネクトメトリー分析で見られる結果と同様であった。さらに、健常高齢者群において18F-THK5351集積とローカルネットワーク測定値をボクセル単位で直接比較することにより、タウ蛋白集積に伴う神経炎症が両側尾状核の種々のローカルネットワーク測定値との間に有意な正の相関を検出した。これらの結果は、T1強調画像を使用した構造ネットワーク解析がAD診断に有用であることを示唆する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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