研究課題
【研究の目的】肝芽腫は稀少癌であり解析対象とする検体を十分に得られないことから、これまでの肝芽腫研究を更に発展させるために症例数の多いHCC/stemlike subtypeを新たに解析対象に加え、肝発生過程からの逸脱と正常肝細胞からの脱分化に働く共通分子メカニズムに着目し、①DNAメチル化・miRNA発現異常に基づく分子診断による個別化治療の確立、および②miRNA発現制御による肝芽腫の進展抑制を目標とした新規治療法の開発、を肝芽腫研究の目標としている。【研究の成果】1.進行肝芽腫およびHCC/stemlike subtypeに共通する分子メカニズムの同定免染により選別したstemlike subtype症例として4症例の腫瘍部・正常肝部から抽出したRNAを用いてGeneChip miRNA4.0 ArrayによるmiRNA発現プロファイリングを施行した。14q32インプリンティング領域に位置するクラスター遺伝子の異常高発現は有意な傾向を示しておらず、進行肝芽腫と共通したmolecular mechanismの同定には至らなかった。一方で、肝芽腫・肝細胞癌の両方の性質を持つ10歳男児肝腫瘍症例の網羅的解析(DNAメチル化,mRNAおよびmiRNA発現)においては、単一症例における分岐進化を見る上で興味深い結果が得られた。2.validation cohortを用いた新規予後予測パネルの作成これまでに予後予測因子として同定した5つの遺伝子(RASSF1A, PARP6, MST1R, OCIAD2,DLX6 )につき、バイサルファイトパイロシークエンシング解析によるvalidationをおこなった。その他のmodalityであるビーズアレイ解析、およびddPCR解析との比較検討もおこない、今後臨床応用可能な予後予測パネル確立に役立つ基礎情報が得られた。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
European Journal of Cancer
巻: 172 ページ: 311-322
10.1016/j.ejca.2022.06.013