研究課題
基盤研究(C)
C型インフルエンザでみられる隔年流行の要因をウイルス側の抗原変異と宿主側の免疫から探り、重症化との関連を検討した。2018年の分離株にみられた表面蛋白のアミノ酸置換K190Nは中和エピトープの中にあり、抗原変異によって流行が拡大した可能性が示唆された。抗体調査では、小児での流行前に成人の抗体価上昇を複数例で検出したことから、免疫を持つ成人の再感染が流行株の選択に働き、小児での流行に影響したことが明らかになった。
ウイルス学
C型インフルエンザの小児での流行に、ウイルスの抗原変異と成人の再感染が関係することを明らかにできた。この成果を他の呼吸器ウイルスの解析に応用することが期待できる。大きな流行になれば小児の重症化例も増える。中和エピトープの場所を同定したことと、本研究でその場所の変異による増殖への影響をみたことにより、今後のサーベイランスで得られる自然分離株の遺伝子変異を抗原変異と結び付けることが可能になり、流行拡大への影響を推測することが出来るようになった。