研究課題/領域番号 |
18K07785
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
市田 蕗子 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 特任教授 (30223100)
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研究分担者 |
廣野 恵一 富山大学, 学術研究部医学系, 特命講師 (80456384)
小澤 綾佳 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (40596540)
齋藤 和由 富山大学, 附属病院, 助教 (30566097) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 川崎病 / 血管炎 / 血管微小粒子 / microRNA |
研究実績の概要 |
川崎病は乳幼児に好発する急性熱性疾患であるが、未だ原因不明である。川崎病の治療戦略を立てる上で、原因究明および新たなバイオマーカーの確立が喫緊の課題である。本研究の目的は、単球・マクロファージの異常な活性化が川崎病の原因であると仮定し、non coding RNA (ncRNA)の観点からこの仮定を実証し、臨床応用へと展開することである。 そのために、①ncRNA病態解明、②ncRNAによるバイオマーカーの確立、③単球・マクロファージにおけるncRNAの役割の解明を目指す。本研究を行うことで、川崎病の原因が単球・マクロファージであることを実証でき、川崎病の診断・治療のパラダイムシフトを起こすことが期待できる。波及効果としては、ncRNAによるバイオマーカーの確立により、川崎病の新しい診断方法や治療薬の開発を加速できる。また、自然免疫が関与する炎症性疾患における単球・マクロファージの新たな役割が解明できる。 昨年度は、川崎病急性期血管炎において血管微小粒子は血管内皮障害のバイオマーカーとなり、血管微小粒子に含まれるmicroRNAは炎症の調節に関与している可能性を報告した。(Nakaoka,et al. MicroRNA-145-5p and microRNA-320a, encapsulated in endothelial microparticles.Scientific Reports 2018 Jan 17;8(1):1016.)。 本年度は、さらに血管微小粒子は血管内皮障害や血管炎の重症度を反映し、冠動脈病変を予測する鋭敏なバイオマーカーであること、血管微小粒子に含まれるmicroRNAを同定し、炎症性サイトカインの遺伝子発現を調整し、冠動脈病変において重要な役割を果たしていることを解明した(Okabe et al.論文執筆中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、川崎病急性期血管炎において血管微小粒子は血管内皮障害のバイオマーカーとなり、血管微小粒子に含まれるmicroRNAは炎症の調節に関与している可能性を報告した(Nakaoka,et al. MicroRNA-145-5p andmicroRNA-320a, encapsulated in endothelial microparticles, upregulate inflammatory cytokine expression levels and contribute to the progression of vasculitis in acute Kawasaki Disease. Scientific Reports 2018 Jan 17;8(1):1016.)。本年度は、さらに血管微小粒子は血管内皮障害や血管炎の重症度を反映し、冠動脈病変を予測する鋭敏なバイオマーカーであること、血管微小粒子に含まれるmicroRNAを同定し、炎症性サイトカインの遺伝子発現を調整し、冠動脈病変において重要な役割を果たしていることを解明した(Okabe et al.論文執筆中) 論文投稿も行ったため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、②ncRNAによるバイオマーカーの確立、さらに、③単球・マクロファージにおけるncRNAの役割の解明を目指す。そのため、 ② ncRNAによるバイオマーカーの確立:ncRNAを含んだ流血血漿中の血管微小粒子の川崎病の治療および予後診断マーカーとしての有用性を検討する。1.ncRNAの冠動脈瘤形成性および治療反応性のマーカーとしての評価:採取した血漿から、FACS解析を行い、冠動脈瘤群と非冠動脈瘤群および初期治療反応群と不応群との比較検討を行い、バイオマーカーとしての利用可能性を検証する。2. 既報の川崎病の炎症性サイトカインとの相関を明らかにし、得られた新規マーカーの有効性を評価する。 ③ 単球・マクロファージにおけるncRNAの役割の解明:M2マクロファージ欠損マウスを用いて川崎病モデルマウスを作成し、ncRNAとM2マクロファージの川崎病発症における役割を明らかにする。M2マクロファージを欠損させることができる遺伝子改変マウスを作成。川崎病モデルマウス(CAWS 誘導血管炎モデルマウス)の作成:完全合成培地の培養上清中に溶出してくる多糖(C.albicans water soluble fractions:CAWS)を本マウスに連続5日間腹腔内接種し、4 週後に組織学的に冠動脈炎を評価する。ncRNAの動態評価を本マウスで追試し、単球・マクロファージとncRNAの関連を明らかにする。ncRNAの局在をin situハイブリダイゼーションを用いて明らかにし、単球・マクロファージとncRNAの相互関係を明らかにする。ncRNAの治療効果の評価:ncRNAを川崎病モデルマウスに投与し、血管炎の抑制および冠動脈瘤が抑制されているか検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の論文執筆を行い, 第一報は採択されたが、第二報と第三報を投稿中で、採択に時間を要しているため、二つの論文の投稿代が生じていない。
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