研究実績の概要 |
マクロファージ活性化症候群(MAS)症例について、基礎疾患別にサイトカインプロファイルを比較検討した結果、全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、川崎病(KD)、若年性皮膚筋炎(JDM)のいずれにおいても、MAS合併時には有意に血清neopterin値が上昇しており、MASの発症には共通してIFN-γの過剰産生が認められることを明らかにした。 s-JIAに合併するMAS症例において、その診断マーカーとして、neopterin, IL-18, sTNFR-II, ferritin値のどれが最も有用であるか比較検討した結果、neopterin値が最も有用であることを明らかにした。 病勢コントロールの不良な成人スティル病の母体から出生したMASの新生児例についてサイトカインプロファイル解析を行い、母体と同様新生児においても、血清IL-18値の異常高値を認めていることを明らかにした。これらの結果は母体から児に移行したIL-18がMASの発症に深く関与していることを示唆している。 一方、MASのモデルマウスの作成については、IL-6トランスジェニックにLPSを投与することによって発症するMASモデルマウスについて、まずIL-6トランスジェニックマウスの作成を目指したが、2回にわたって作製したプラスミドDNAベクターの受精卵へのインジェクションを行ったものの、いずれも胎生致死となったため断念した。代わりにWTマウスに浸透圧ポンプを用いてIL-18の持続投与を行い、CpG投与によりMASを発症するモデルマウスの作成を試み、MASを発症させることに成功した。
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