研究課題/領域番号 |
18K07787
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
石川 貴充 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30402283)
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研究分担者 |
關 圭吾 浜松医科大学, 医学部附属病院, その他 (20626345) [辞退]
内山 弘基 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (30840516)
大谷 速人 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60794972)
茂木 聡 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (60573368)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 川崎病 / 動脈硬化 / 光干渉断層法 |
研究実績の概要 |
川崎病は乳幼児期に好発する原因不明の急性有熱性疾患である。本疾患は全身の中小動脈血管炎が主病態であり、急性期炎症が鎮静化した後も存在し早期動脈硬化の発症と進展に関連する可能性が指摘されており、血管内皮障害・慢性炎症・酸化ストレスの3者による悪循環が関与するという仮説が提唱されている。 我々は川崎病発症後5年以内にはすでに血管内皮形態の変化に先行し血管内皮機能障害が存在することを見出した(Ishikawa T, et al. JPediatr 2013)。さらに川崎病急性期における有熱期間が長期化するほど酸化ストレス誘発(oxidative stress-induced)血管内皮障害のリスクが高くなることを証明した(Ishikawa T,et al. BMC Cardiovasc Dis. 2017)。これにより川崎病後早期動脈硬化への進展に関する悪循環はすでに若年小児の段階から始まっていることが確認された。しかしながら現時点で川崎病遠隔期症例でのアテローム動脈硬化の存在は証明されておらず、川崎病既往例における冠動脈壁の形態・性状の詳細な評価は重要な研究テーマであるといえる。近年、先進的血管内画像診断装置である光干渉断層法(OCT)が開発され、より詳細な冠動脈の形態的観察が可能となった。しかしOCTを用いた評価は成人の虚血性心疾患に限定されており、川崎病後の動脈硬化についてOCTを用いた研究は現時点で皆無である。 本研究では冠動脈先端画像評価を用い川崎病後の動脈硬化に関する画像解析・マルチバイオマーカーの融合研究を行うことにより川崎病後動脈硬化のメカニズムを解明し、その早期診断方法の確立と患者毎のリスク層別化ならびに川崎病の包括的治療戦略の構築を目指す。平成30年度は川崎病既往例に対する冠動脈造影ならびにOCTによる形態評価、各種バイオマーカーの測定を開始し、令和2年度は前年度に引き続き症例数の蓄積を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に開始された川崎病既往例に対する冠動脈造影、OCTによる形態評価、各種バイオマーカーの測定がさらに進み「冠動脈病変(CAL)を認めない群(Group1)」「CAL退縮群(Group2)」「CAL残存群(Group3)」の3群に分類された症例についてもデータの蓄積が進んだ。OCTについては当院循環器内科医師との連携が進み、徐々にではあるが症例数が増えている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では目標症例数には及ばないものの、今年度も数例のOCT検査が予定されておりデータの収集をさらに進めてゆく。症例の蓄積については今後もリクルートを進めるとともに、必要に応じて内外の研究者および関連病院のネットワークも活用してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
検討症例数が予定より少なくバイオマーカー測定試薬等の支出が少なかったため。
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