研究課題
ヒトゲノムの一次構造情報を応用したマイクロアレイや次世代シーケンス技術が広まってきたことによって、微細なゲノム構造異常を同定することが可能となった。特に、神経発達障害患者においては、このようなゲノム構造異常がしばしば発症に関わっていることが明らかになってきた。中には、リピート配列やレトロトランスポゾン挿入等、一次構造の特徴から生じたものもあるが、今のところメカニズムが明らかでない複雑なゲノム構造異常も存在する。本研究では、これまでの理解では解釈できないメカニズムによると考えられるユニークな構造異常の切断点解析を行い、新たなメカニズムを明らかにすることを目的としている。この目的のため、Nanopore sequenceを用いたlong sequenceによる全ゲノム解析を行った。これにより複雑な構造異常がchromothripsisによって生じたものと、chromoanasynthesisによって生じたものを同定でき、複雑な染色体異常のメカニズムに迫ることができた。さらに、重複の両端が3重複している複雑な異常を2例の患者において見出し、この構造異常についても同様の解析を行った。その結果、2例とも一見複雑な構造異常が、たった2か所の切断・融合点によって構成されていることを世界で初めて明らかにした。うち1例は切断・融合点にレトロトランスポゾンの挿入が認められた。これらの成果は全て国際誌に論文発表することができた。この知見をもとにさらに解析を進め複雑な染色体構造異常のメカニズムを解明する必要がある。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 3件)
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