研究課題/領域番号 |
18K07804
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
栗林 太 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60251443)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 活性酸素 / NADPHオキシダーゼ / 慢性肉芽腫症 |
研究実績の概要 |
2018年度から開始した本応募課題の遂行過程において下記の実績を達成しながら着実に研究を進めてきた。まず、白血球の分化誘導因子であるレチノイン酸によるgp91phoxの発現機構を明らかにした(Biochem Biophys Res Commun. 495 1195-1200. 2018)。また、このgp91phoxの細胞膜での立体構造の一部を明らかにした(Microbiol Immunol. 62 269-280. 2018)。更に、ポリフェノールの一種であるカルコンの抗菌作用が好中球の活性酸素によるものであることを明らかにした(Fundamental Toxicological Sci. l5 149. 2018)。昨年度は新たに、抗菌作用のある様々なポリフェノールとgp91phoxとの関係を明らかにした(Microbiol Immunol. 63 438-443.2019)。 慢性肉芽腫症(CGD)患者の多くはgp91phoxの遺伝子異常により好中球が活性酸素を産生することができない。そのため小児期から感染症を繰返し、抗菌薬の発達した 現在でも死に至る遺伝性疾患である。本応募課題では、gp91phxのmRNAの解析を中心として、広くgp91phox発現の基礎的理解sとCGDの治療に資する研究を行うことであり、これまでも学内外への論文発信により研究実績を明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度から新規交付の科学研究費により本研究課題を遂行していた。予定していた7D5の抗原を決定することができ、その後のin vitroの細胞アッセイ系の構築と解析に進むことが可能となった。2018年度から英文誌を著すこともでき、現在gp91phoxの発現調節に関する研究をほぼ予定通り実施している。
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今後の研究の推進方策 |
IFNγ有効CGD患者におけるNASの証明:IFNγが活性酸素産生に有効な培養細胞を解析し、gp91phox遺伝子にpre-mature stopが存在することを明確にする。その培養細胞からmRNAを精製し、RT-PCRからpre-mature stopを持つexonを欠損した短いgp91phoxmRNAを同定する。そのことにより、NASはIFNγに誘導されることを確認する。次に短いmRNA由来のタンパク質の発現を培養細胞で確認し、同時に正常に比べれば低いと想像されるタンパク質を発現している培養細胞が生成する活性酸素を定量する。 IFNγ無効のpre-mature stopの解析: 研究代表者のこれまでの解析から、gp91phox遺伝子のexon内にpre-mature stopが存在するCGD患者の中には、IFNγの無効例もいる。この無効例では、スキップされる1つのexonがコードする部分タンパク質は、活性 酸素生成上の重要な領域と考えられる。予想ではあるが、gp91phoxをコードする遺伝子上で、電子伝達機構上必須である領域を コードしている重要な部分、あるいは構造維持のために必要な部位に対応するexon の欠損を生じる場合はIFNγが無効と考える 。このIFNγ無効例を解析すること により、gp91phoxの機能的にも構造的にも重要な領域を明らかにできると考える。これらの解析を通して、IFNγの有効例と無効例の遺伝子変異部位の分布を解析し、 IFNγの治療指針を提示したい。これら遺伝子の配列の解析と細胞培養全般は実験補助員を一定期間雇用して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由: 学会参加を予定しておりましたが、論文投稿を優先させた結果、令和元年度の使用額が減少しました。この他、購入した物品費が計画よりも安価に済んだ場合がありましたので使用額が減少しました。 次年度使用計画: 次年度使用額は物品費と人件費、謝金に使用予定です。
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備考 |
https://kwweb-res.kawasaki-m.ac.jp/kwmhp/KgApp?section=13&resId=S003615
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