研究課題/領域番号 |
18K07805
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山下 裕史朗 久留米大学, 医学部, 教授 (90211630)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 神経発達症 / 唾液コルチゾール / 唾液MHPG / 診断 / 治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、侵襲のほとんどない唾液を用いて、コルチゾールやノルアドレナリン作動神経の活動を反映する唾液MHPGを測定し、唾液中コルチゾールやMHPGが神経発達症の診断、病態評価およびSummer Treatment Program(STP)やペアレント・トレーニングなどの行動療法や薬物療法の治療効果評価に役立つかの学術的問いに答えることである。 1.ADHD、ASDなどの神経発達症で無投薬の児童および養育者の唾液コルチゾール・MHPG測定と治療薬投与後の変化:起床時、起床30分、45分後に唾液採取、 前・投与後1か月で各2日ずつの唾液採取の検体採取はCOVID-19パンデミックの影響で受診者も少なく、2020年、2021年と検体の集まりが悪い。 2.AHDH包括的治療プログラム1週間STPに参加する児童と養育者のSTP参加前(7月)、後(9月)、フォローアップ(12月)の唾液採取と測定:1週間STPを2019年8月12~17日に久留米市特別支援学校で実施し、10名のADHD学童が参加した。参加した児童と養育者のSTP前後での質問紙の記入・回収を行ったが、唾液検体に 関してはSTP前の採取のみでSTP後の採取はしなかった。台風のために6日間のプログラムが1日減ったため通常のSTPとは異なるプログラムになってしまい、質問紙を含めすべてのデータが使えなくなったことが理由である。また、2020年のSTPはCOVID-19パンデミックの影響で中止となった。 3.トリプルPペアレント・トレーニングプログラム前後での養育者唾液採取と測定:これまで参加した保護者から唾液検体611検体のコルチゾール測定を2020年に完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
外来診療で新規にADHDやASD患者に投薬を開始する症例の検体収集が、新型コロナパンデミックによる外来患者受診抑制等外来診療への影響によってできていない。また本研究の柱である支援学校を使ったSTPを実施することが2020年ができず、また2021年のSTPも感染再拡大のため、中止を決定した。したがって外来患者およびSTP前後の唾液検体収集が実質上できなかった。ペアレントトレーニング前後の保護者唾液の採取は順調で611検体という十分な検体が集まっており、すでに唾液中コルチゾールの測定を終えている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施する予定のSTPは、COVID-19感染再拡大のため参加スタッフの研修ができないことや参加学生のボランティア活動の禁止、学校の使用ができないなどの理由から2021年4月に時点で実施中止することを決断した。そこで、十分な検体がすでに集まっているペアレントトレーニングに参加した保護者の参加前後の唾液のコルチゾールのデータを分析することに焦点を絞って最終年度に研究をまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックによって、Summer Treatment Program(STP)が2020年度に実施できなかったため、STP実施に関わる諸経費を使わなかったため。
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