研究実績の概要 |
目的;急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)を合併した若年性皮膚筋炎(JDM)は、小児リウマチ性疾患の中で最も生命予後が悪い。抗MDA5抗体に関連する病態は未だ十分に解明されていない。 方法;野生株マウスとしてC57BL/6、自己免疫性疾患マウスとしてMRL/MpJ lpr/lpr、コントロールマウスとしてMRL/MpJ +/+を用いた。免疫賦活としてPoly IC、プリスタン、リコンビナントIl-18タンパク、リコンビナントMDA5タンパクを使用している。6-7週齢マウスに経鼻腔投与、腹腔内投与にて刺激を行い、2ケ月後に肺組織を評価した。 結果;C57BL/6マウスでは、poly IC単独投与よりも、rIl-18,rMDA5を腹腔内投与したほうが、肺への炎症は強く発現した。気管支肺胞洗浄液では全て群においてマクロファージの活性化がみられた。MRL/MpJ +/+マウスでは、プリスタン単独投与後8週後の肺病理では肺胞出血はほとんど認めない。プリスタン+rMDA5投与MRL/MpJ +/+マウスでは、肺胞内の出血が残存している。軽度の炎症細胞浸潤を認める。肺胞内出血部において、肺胞隔壁の肥厚はほとんど認めていない。MRL/MpJ lpr/lprマウスでは、プリスタン単独投与後8週後の肺病理ではやや肺胞出血が残存する。プリスタン+rMDA5投与MRL/MpJ lpr/lprマウスでは、プリスタン単独投与と比べ、肺胞内の出血が残存し、炎症細胞浸潤を認める。肺胞内出血部において、肺胞隔壁の肥厚があり、炎症細胞も認めている。 結語;MRL/MpJ lpr/lprマウスはコントロールマウスと比べ、プリスタン+rMDA5投与にて、肺胞内出血部において、肺胞隔壁の肥厚があり、炎症細胞浸潤が著明であった。MDA5が炎症惹起に寄与している可能性が示唆された。今後、自己免疫誘導に関しても研究が必要と考えられた。
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