所属施設の異動によりヒト検体を用いた分子異常解析および遺伝子解析が施行出来ていないため、共同研究者が先天性血小板減少症の系統解析にて同定したACTN1バリアントについて機能解析を行った。 7種類のACTN1バリアントを含むACTN1 cDNAを哺乳類細胞発現ベクターpcDNA3.1neoにN末myc配列と共に作製した。野生型ACTN1および既報の病的バリアントと同時にCHO細胞に遺伝子導入し、フィブロネクチン固相スライドガラス上に進展し、抗myc抗体およびファロイジン染色を行うことでアクチニン発現およびその局在とアクチン線維再構成を評価した。野生型ACTN1導入細胞では非導入細胞と同様な細胞形態と細胞進展を認めた。また、進展細胞で観察される正常なFアクチン構成を認めた。陽性コントロールとして用いた既報病的バリアント(V105I)を含め今回同定した全てのバリアント(T257R、V328M、K398T、A432V、R450C、H622Y、Q719P)を導入したCHO細胞では、フィロポディアおよびラメリポディア形成は不良で、正常な細胞進展は観察されず、太く長いアクチン線維を認めた。 本研究において同定し解析したACTN1バリアントは従来報告されていたアクチニン蛋白のアクチン結合あるいはカルモジュリン結合領域外のスペーサー領域にあり、アクチニンの逆平行配位形成を強固にし、Fアクチンの異常構成に関連することが考えられる。
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