先天性QT延長症候群(LQTS)患者の高精度心電図データを収集して再分極過程(T波)の多変量解析を行い、遺伝子型との関連を検討した。独立成分分析によれば、正常なT波は全例が4個の独立成分(IC)から構成されていたのに対して、LQTS(type 1~3)のT波は過剰なICを含め5個以上のICから構成されていた。主成分分析ではLQTSのT波の第2/第1主成分比が正常よりも高値を示した。これらのことはLQTSの心筋再分極過程の不均一性を示し、不整脈発生の基盤となることを示している。また、幾何学的形態測定学を用いるとLQTS type 3のT波はその形態のみから正常なT波と鑑別できることが示された。
|