研究実績の概要 |
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は予後不良な小児骨髄増殖性疾患である。我々はイルミナ社450kメチル化アレイを用いたメチル化プロファイリングを行い、高メチル化群の予後が不良であることを明らかにした(Murakami N, et al. Blood 2018)。 イルミナ社の450kメチル化アレイは豊富な実績がある安定したDNAメチル化解析プラットフォームである。実臨床の現場に実装する上では、より低コストかつハイスループットな検査法の開発が求められる。本研究では、450kメチル化アレイ解析を実施済みの臨床検体を用いて、Digital restriction enzyme analysis of methylation (DREAM)法によるメチル化解析を実施した。DREAM法は、同じCCCGGG配列を認識するが、シトシンがメチル化していると切断しない制限酵素(SmaI)およびメチル化していても切断する制限酵素(XmaI)で順番にDNAを処理し、その後イルミナ社の次世代シーケンサーでショートリードシーケンスを行う方法である。 同法を用いて、101例のJMML患者のメチル化解析を行った。教師なしクラスタリングを施行したところ、2つのサブグループ(高メチル化群・低メチル化群)に分類することが可能であった。450kによる分類と、今回のDREAM法による分類の一致率は、95.0%であった。現在、論文投稿中である。 さらに、国際共同研究を行い、255例のJMML患者検体の450kメチル化アレイデータの共同解析を行い、解析方法のハーモナイゼーションを完了し、論文化した(Schoenung M, et al. Clin Cancer Res. 2021)。また、患者年齢、HbF、RAS経路遺伝子変異など、シンプルな臨床情報によるメチル化分類の予測統計モデルを作成し、論文投稿中である。
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