研究課題/領域番号 |
18K07819
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
和田 敬仁 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70359727)
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研究分担者 |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (20362189)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知的障害 / ATRX / 注視点分布計測 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
本研究は、非侵襲的な手法の一つである注視点分布計測を用いて、知的障害症候群の認知機能や社会性の評価方法を開発することを目的とする。対象疾患であるATR-X症候群はクロマチンリモデリング因子ATRXをコードしているATRX遺伝子を責任遺伝子とするX連鎖知的障害症候群の一つである。同程度の知的障害を呈する知的障害症候群の患者に比して、自閉症症状を呈することが臨床的に観察されているが、客観的な評価方法はない。我々は5-アミノレブリン酸がAtr-xモデルマウスの認知機能を改善させることを報告した。本研究により、将来のATR-X症候群の患者に対するγアミノレブリン酸の投与による認知機能や社会性の評価のバイオマーカーとして、非侵襲的で客観的な解析が可能な注視点分布計測の可能性を探索する。 平成30年度は、注視点分布計測装置(GazeFinder)を用いて、既報の研究で信頼性が確認された5種類の視覚刺激画像(人物画像、幾何学的模様、動画など)を用いて、ATR-X症候群の患者に対して、以下を実施した。(1)研究準備として、ATR-X症候群の勉強会に参加した15名(2~21歳)に対して計測を実施し、計測のfeasibilityを確認したところ、計測装置の設置方法、計測場所の環境、被験者の健康状態に依存することが確かめられた。 (2)京都大学医学部附属病院遺伝子診療部を受診し、ATR-X症候群6症例(4ヵ月~16歳)に対して、外来で注視点分布計測を行ったところ、視覚刺激画像に対しての注視する能力は、臨床的な社会性と関連する傾向がある結果が得られている。これは、同時に計測している視機能計測装置(Spotvision)の解析の実施可否に相関する傾向があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究のfeasibility確認のための注視点分布計測をおこなった対象は15症例、および、研究解析対象となった対象は6症例であり、実施症例数は計画よりも少数であった。これは、年度末に実施予定であった勉強会開催が延期されたことが一つの要因である。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度以降は、(1)注視点分布計測のデータ獲得を安定化させるには、計測実施環境の整備の検討、(2)注視点分布計測視覚刺激画像プログラムの検討、(3)計測症例数目標ATR-X症候群15例とする。 当初予定されていた、γアミノレブリン酸の投与によるGazeFinderを用いた注視点分布計測のバイオマーカーの可能性の検討に関しては、臨床研究法の改定、および、研究費獲得が出来ない状況であり、臨床研究としての実施が困難となったため、観察研究としての実施を再検討する。 ATR-X症候群以外の知的障害症候群の症例に関しては、クレアチントランスポーター欠損症、および、ダウン症候群を対象疾患とする予定である。
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