研究課題
ポドサイトにおけるMYH9の異常が巣状分節性糸球体硬化あるいは蛋白尿を惹起する機構を解明するために、MYH9-R702Cノックインマウスを用いた実験を行った。まず、NPHS2-CreERT2マウスおよびMyh9-R702Cneoマウスを交配および人工授精・胚移植(IVF-ET)することにより、NPHS2-CreERT2/Myh9-R702Cneoダブルヘテロマウスを得ることに成功し、要時供給可能な体制を整えた。このマウスを用いて、糸球体硬化とポドサイトの形態変化が生じることを確認し、次に各進行段階での免疫染色、免疫電顕を行った。その結果、Myosin IIAは中間径フィラメントではなくアクチンに結合することが判明した。このため、α-actinin 4およびsynaptopodinとの共局在について解析し知見を得た。一方、CRISPR/Cas9システムを用いて培養ポドサイトにMYH9遺伝子のR702C変異を導入した細胞株を用いて、MYH9と相互作用する蛋白の解析を行うことを目的として、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集を行った。培養ポドサイトにpcDNA3.1を用いてプラスミドでMYH9遺伝子のR702変異およびwild typeの遺伝子を導入し、培養を継代し、細胞数を増加させた。これを用いて、RT-PCR法およびWestern blotting法にて変異の導入を確認している。今後、東京大学医科学研究所プロテオミクスラボラトリーに依頼し相互作用プロテオミクスを施行する基盤となる。
2: おおむね順調に進展している
当該年度はMYH9-R702Cノックインマウスにおける免疫電顕を含めた病理学的変化を観察することを目標としており、それが達成されたため。
R702変異を導入した培養ポドサイトを用いて、細胞の微細構造の変化を観察する。また、相互作用プロテオミクスを施行し、MYH9と他のポドサイト関連分子・細胞骨格関連分子との結合および相互作用を解析する。この結果をもとに、MYH9-R702時期/組織特異的ノックインマウスにおいてMYH9およびポドサイト関連分子の病理学的変化を観察する。免疫電顕も併用することで、微細構造内における局在変化を解析し、MYH9異常がポドサイトの細胞骨格を障害する機序を明らかにする。
免疫染色と細胞培養のための試薬・機器使用代が予定よりも抑えられたため。次年度の試薬代およびプロテオミクス費用に充当する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
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