研究課題
難治性ネフローゼ症候群は高度蛋白尿、腎組織の巣状糸球体硬化症(FSGS)、末期腎不全を来す疾患であり、その病態解明は小児腎疾患診療において最大課題の一つである。細胞骨格蛋白であるミオシン重鎖MYH9は糸球体上皮細胞(ポドサイト)に発現しており、その異常はEpstein症候群を起こし、腎組織はFSGSを呈する。また、遺伝子異常によらない特発性FSGSのポドサイトでも特異的にMYH9の発現が低下しており、MYH9は蛋白尿の濾過障壁として重要と考えられているポドサイト内で形態維持に重要な役割を果たしていることが考えられる。今回、MYH9の病的意義について解析するため、MYH9変異の時期特異的/組織特異的ノックインマウスを作製した。まず、MYH9-R702Cneoマウスでは、ヒトEpstein症候群と同様の血液学的異常、聴力低下、腎障害を起こすことが確認された。次に、MYH9-R702CneoマウスとNPHS2-CreERT2マウスを交配し、ダブルヘテロマウスすなわち腎特異的ノックインマウスを作製した。生後4週でタモキシフェンを投与したところ、生後13週で、蛋白尿の増加を確認した。また、ヒトEpstein症候群7例の腎病理所見の解析を行い、メサンギウム増殖性腎炎4例、FSGS2例、IgA腎症1例を認めた。7例全例でメサンギウム増殖を認めた。蛍光抗体染色所見が得られた6例のうち、1例は免疫グロブリン・補体の沈着はなかったが、他の5例ではIgG, IgAなどの免疫グロブリンおよびC1q、C3の沈着を認め、5例全例に電顕でメサンギウム領域またはパラメサンギウム領域の高電子密度沈着物を認めた。病理画像の得られた2例では、糸球体係蹄の二重化、内皮下腔の拡大、メサンギウム融解など内皮障害の所見がみられた。
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すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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