研究課題/領域番号 |
18K07832
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
垣田 博樹 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40528949)
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研究分担者 |
山田 恭聖 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60405165)
青山 峰芳 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (70363918)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低酸素性虚血性脳症 / 低体温療法 / グリア / エリスロポエチン / ニューロン |
研究実績の概要 |
<目的>新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)に対して、現在有効性が確認されているのは低体温療法のみであり、広く行われている治療法である。しかしながら低体温療法の神経保護作用のメカニズムについては、あいまいな点が多い。今回、われわれはアストロサイトが分泌する神経保護因子のエリスロポエチン(EPO)に着目して、低体温療法の神経保護について検討した。 <方法・結果>ラット大脳皮質由来アストロサイトおよびニューロン初代培養を用いて解析を行った。アストロサイトを低酸素・無糖状態にするとEPO遺伝子発現が亢進することを確認した。さらに低酸素・無糖状態にしたアストロサイトを、引き続き低温状態(33.5℃)と常温状態(37℃)で培養し比較した。低温状態では常温状態に比べてEPOの発現が有意に上昇していた。同時に、hypoxia inducible factor (HIF)-1α、HIF-2αの遺伝子発現の亢進も起きることを確認した。さらに低酸素・無糖状態にしたニューロンに、低温状態にしたアストロサイトから得たコンディションメディウムを添加することで、ニューロンのアポトーシスが抑制されることを明らかにした。 <考察>今回の実験で低温状態によってアストロサイトから分泌されるEPOの発現は維持され、さらにこのEPOがニューロンの傷害を抑制することが明らかになった。この結果はHIEに対する低体温療法の神経保護作用のメカニズムの一部を解明するものである。さらにHIEに対する、低体温療法を補完する新規脳保護治療法の開発につながる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、in vitroの実験系で、低温状態によってアストロサイトから分泌されるEPOの発現は維持され、さらにこのEPOがニューロンの傷害を抑制することを明らかにした。これらの研究成果は学会で発表し、英文論文として投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroで明らかになった現象をin vivoのモデル動物においても確認していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況が順調であり、当初計画より実験動物の購入を削減できたため。
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