研究実績の概要 |
申請者は超低出生体重児の後遺症なき究明のためには早産児のPDAの診療の質向上が重要と考え、基礎・臨床研究に邁進してきた。基礎研究では、胎児・新生児の動脈管の開閉に及ぼす種々の薬剤の影響やメカニズムを明らかにしてきた。かつて早産児の循環管理は昇圧を目指していたが、心エコー検査を併用して負荷と機能を捉える方法を新生児に臨床応用し、病態に合わせた治療を行うことにより予後改善につながり得ること(Toyoshima K, J Formos Med Assoc. 2013)、左房容積が左房・大動脈径比より動脈管指標として優れる可能性 (Toyoshima K, Circ J. 2014)を報告してきた。これらを基に平成27年度から全国34施設の多施設共同研究(PLASE study)を主導し、昨年、Toyoshima K, Isayama T, Kobayashi T, Masutani S, et al. What Echocardiographic Indices Are Predictive of Patent Ductus Arteriosus Surgical Closure in Early Preterm Infants?: A Prospective Multicenter Cohort Study. J Cardiol. 2019;74:512-518にて報告できた。 本研究では、上記の論文報告に引き続き、PLASE研究にて症例登録を終えた710名の早産児の経時的な心エコー検査と臨床情報を併せ持つ世界的に類をみないデータベースで様々な新生児合併症との関連性のサブ研究を解析しつつ、3歳までの発達・発育状況を追跡調査して情報をリンクすることにより、在胎30週未満の早産児のPDAの重症度、治療、治療のタイミングが、3歳までの発達に影響を与えるかを明らかにすることを目指した研究である。本年度は参加施設での3歳の発達の追跡調査を行った。
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