研究課題
小児がんおよび若年がんの治療後には原疾患および治療の影響により、全身の臓器障害(晩期合併症)や二次がんを発症するリスクがあり、とりわけ内分泌異常の合併頻度が高いことが報告されている。小児がん経験者(childhood cancer survivor:CCS)およびAYA(adolescent and young adult)世代がん患者の晩期合併症は治療後の生活のQOLに関わる重要な問題である。しかしフォローアップが途切れてしまうことにより適切な医療サービスが享受できていない患者が多数存在し、本邦における晩期合併症の実態が把握されていないのが現状である。そこで小児診療科から成人診療科への円滑な移行(トランジション)の重要性が注目されるようになってきた。申請者は小児・AYA世代がん患者の長期フォローアップにおける包括的な診療体制構築と適切な移行期医療の提供を目的として、以下の研究を行った。2018年度(初年度)は小児科と成人診療科の緊密な連携構築に向けて、小児内分泌医の移行期に対する考えや移行期医療の現状を明らかにするためのアンケート調査を行った。対象は日本小児内分泌学会評議員(137施設、183人)、調査期間は2018年10 月から2018 年12 月までとした。自記式記名式質問紙を全評議員に郵送し、複数の評議員が所属する場合は施設単位で代表者1名が回答した。回答数 131部 、回答評議員数(同一施設内の評議員数を足し合わせた数)174名 、回収率95.1%(174/183)となり、大多数の評議員の協力が得られた。本調査により日本の小児内分泌診療における小児・AYA世代がん患者の移行期の診療実態や医療者のニーズを把握することができた。次年度はこれらの解析結果をもとに、成人内分泌医を含むヘルスケアプロバイダーへの啓蒙活動をすすめる予定である。
2: おおむね順調に進展している
2018年度に予定していた日本小児内分泌学会評議員対象の小児・若年がん患者の移行期医療に関するアンケート調査を当該年度内に実施することができた。
次年度以降は2018年度に実施した小児内分泌学会評議員対象の<小児・AYA世代がん患者の内分泌診療における移行期に関するアンケート調査>の解析結果を踏まえて、国内学会および国際学会での発表を通じて、成人内分泌医を含むヘルスケアプロバイダーへの啓蒙活動を進めていく予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件)
Journal of Hematopoietic Cell Transplantation
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