研究課題/領域番号 |
18K07842
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
三善 陽子 大阪樟蔭女子大学, 健康栄養学部, 教授 (40457023)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小児がん / AYA世代 / 晩期合併症 / 長期フォローアップ / 移行期(トランジション) / 移行期医療 / 内分泌異常 / がん・生殖医療 |
研究実績の概要 |
小児と思春期・若年成人(adolescent and young adult:AYA)世代のがん患者は晩期合併症の発症リスクがあり、なかでも内分泌異常の占める頻度が高く、長期フォローアップが必要である。小児がん経験者(childhood cancer survivor:CCS)のフォローアップにおいて移行期医療が重要な位置を占めるが、成人診療科への移行(トランジション)過程で受診が途切れて適切な医療サービスを享受できていない患者が多数存在する。申請者は小児・AYA世代がん患者の移行期医療の発展を目指して以下の研究を行った。 小児・AYA世代がん患者の内分泌診療における移行期医療に関するアンケート調査を、日本小児内分泌学会CCS委員会の協力を得て実施した。紹介側である日本小児内分泌学会評議員(137施設、183人)を対象としたアンケート調査の回収率は95.1%であった。本調査により小児内分泌診療における小児・AYA世代がん患者の移行期医療の現状と問題点、小児内分泌医の移行期医療に対する考えを明らかにし、2020年度に論文発表した(Clin Pediatr Endocrinol. 29(2): 55-62, 2020)。受け手側の調査は、日本内分泌学会近畿支部評議員対象のアンケート(配布数230部)を厚労科研がん対策研究(分担研究)として実施した(回答率73.9 %)。2021年度は小児科と成人診療科の双方の視点から解析して発表する予定である。 この他、日本小児内分泌学会CCS委員会副委員長として「小児がん診療の手引き」の作成に参加した。また、がん治療による妊孕性低下・喪失に対する先制医療開発として、小児・AYA世代がん患者の妊孕性温存療法の普及を目指す「がん・生殖医療」について研究および啓発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「小児・AYA世代がん患者の内分泌診療における移行期医療に関するアンケート調査」を日本小児内分泌学会評議員を対象として実施し、2020年度に研究成果を論文発表した(Miyoshi Y, et al. A nationwide questionnaire survey targeting Japanese pediatric endocrinologists regarding transitional care in childhood, adolescent, and young adult cancer survivors. Clin Pediatr Endocrinol. 29(2): 55-62, 2020 )。新型コロナウイルス感染症の世界的流行により多数の学会が延期・中止となり、海外渡航も不可となったため、予定していた研究活動や情報交換が十分に実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2021年度)は日本小児内分泌学会評議員対象の<小児・AYA世代がん患者の内分泌診療における移行期に関するアンケート調査>と日本内分泌学会近畿支部評議員対象の<小児・AYA世代がん患者の内分泌診療における移行期医療の現状調査>について、小児科と成人診療科の双方の視点から解析する予定である。また最終年度としてこれまでの研究成果を統括し、小児科と成人診療科の相互理解に基づく連携体制構築と、長期フォローアップの診療レベル向上を目指した啓蒙活動を行う。新型コロナウイル感染症の流行により対面での活動が制限されているため、運営しているwebsite「小児・若年がんと妊娠」(URL:http://www.j-sfp.org/ped/)を用いて医療関係者およびがん患者に対する情報発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により多くの学会や研究会が延期・中止され、海外渡航が不可となり国際学会にも参加困難となり、予定していた研究活動が十分に実施できず研究費が一部未使用となった。
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