研究課題
小児期発症の難治てんかんの治療として反復磁気刺激(rTMS)の治療を検討する研究であったが、COVID-19のパンデミックは持続しており、研究目的での入院が困難であり、実際にrTMS治療は行えなかった。従って治療評価としての指標の確立のために1)脳波の経時的変化の評価を自動spike検出ソフト(Persist)を用いて行うこと 2)MRIのdiffusion tensor imaging (DTI)による脳微細構造の評価を行い、3)DPA713PETによる治療群と非治療群の神経炎症の違いについて検討した。1)2)3)とも今年は小児期発症の難治てんかんの原因として多い、結節性硬化症(TSC)患者を対象として検討した。1)脳波計(Nihonkoden)で覚醒・睡眠の脳波を測定し、約20分の睡眠脳波においてPersistを用いて自動spike検出をおこなった。単位時間あたりのspike頻度を算出した。2)DTI撮像と神経心理検査を実施し、画像解析ソフト(FSL)を用いて白質構造の統合性をFA/MD値を算出した。正常コントロールとてんかん患者群で比較検討した。また神経心理検査との相関について検討を行った。3)DPA713PETを行い、さらに3D MRIと重ね合わせて神経炎症の広がりの体積を全脳の体積との比を算出した。治療群と非治療群において比較検討した。結果:1)spike頻度は難治性とある程度の相関はあるが、発作がコントロール良好となっても比較的高頻度にspikeを持っていることもあり、治療の指標とならなかった。2)DTIのFA低値、MD高値は認知と負の相関を示し、特にLimbic systemに関連する線維束の異常は患者の不適応行動と関連していた。3)治療群によりてんかん重症度が改善した群においては神経炎症は抑制されており、治療の指標となりうると考えられた。
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