研究実績の概要 |
新生児・乳児消化管アレルギーは,非IgE依存性の食物アレルギーであり、IgEを介さない非即時型アレルギー反応が主体となって起きるとされている.細胞性免疫が関与して成立すると考えられているが、その機序はいまだ明らかになっていない.病態解明を目的としたサイトカイン解析の報告は続いているが結果は一致していない.これはサイトカインが急性期においても短期的に変動していること.さらに病型によってもその病態が異なる可能性を示唆している.本研究ではこの解明を目的とする. さらに嘔吐や下痢,血便といった消化器症状を呈する疾患は複数あり,除外診断後に本疾患を疑うため診断が遅れる場合が多い.診断のための検査は確定診断できないうえに,結果が出るまで時間を要するものも多い.確実な診断を行うには食物負荷試験が必要であるが, 1週間の入院が必要であり急性期の診断に簡便に用いることができる検査ではない.また重症例が一定の割合で存在し, 診断および治療介入の遅れは,児の成長発達に影響する.. 嘔吐, 下痢など類似の症状をきたすウイルス性腸炎, 細菌性腸炎および1型アレルギー患者での検体を収集しCytometric bead array (CBA)法 (BD Biosciences社) を用いて血清中サイトカイン (IL-2, IL-4, IL-6, IL-10, IFN-γ, TNF-α) の測定を有症状、無症状時で行い比較検討を行なった.
血清IL-2はウイルス性腸炎, 細菌性腸炎および1型アレルギー患者に比較しFPIES患者群で有意な上昇を認めた.この結果より有症状時の血清IL-2は他の消化器疾患の戸の鑑別とFPIES患者の診断に有効な可能性が示唆された.
|