研究課題
遺伝性プロテイン(PC)欠乏症の臨床背景と臨床的意義を検証する目的で、新生児血栓症の全国調査を行った。対象は2014年から2018年に、胎児期を含む日齢28以内に血栓症を発症した新生児とした。一次調査は対象症例の実績について調査し、二次調査では対象症例の臨床情報を集積した。一次調査で報告された120名のうち、二次調査で臨床情報を得ることができたのは77名であった。そのうち13名が遺伝子検査を受けており、PC遺伝子(PROC)およびプロテインS(PS)遺伝子(PROS1)両方の検査を受けたのが1名、他12名はPC遺伝子検査のみであった。PROC変異は9名で検出され、両アレル変異4名、片アレル変異5名であり、新生児血栓症におけるPROC片アレル変異の遺伝学的効果が認識された。また、新生児血栓症患者77名のうち、25名(32.5%)が中心静脈カテーテルを挿入していた。また頭蓋内出血性梗塞例は66名(85.7%)であった。PROC変異症例と、非変異あるいは遺伝子検査が未施行である症例の臨床像を比較すると、変異症例で血栓症の家族歴、眼内出血および電撃性紫斑病が有意に多いことが分かった。これらは四肢切断や視力障害などの重篤な後遺症を合併する可能性がある。また変異の有無にかかわらず、血栓症発症時期は日齢3以内(胎児期を含む)が最も多く、58名(75.3%)であった。早期診断し、治療につなげる重要性が示唆された。さらに、2001から2018年に、胎児期を含む日齢28以内に血栓症を発症し、九州大学病院での遺伝子検査で遺伝子変異を認めなかった後天性PC欠乏症例の追跡調査を行い、PC活性値の推移を調査した。7名全例が生後半年まで年齢の正常下限以下であった。再発の予防や活性値上昇を確認する必要性が示唆された。
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