研究分担者 |
大坪 慶輔 東海大学, 医学部, 講師 (10401837) [辞退]
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30238133)
望月 博之 東海大学, 医学部, 教授 (50270856)
山田 佳之 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (80309252)
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研究実績の概要 |
Respiratory syncytial (RS) やライノウイルスなどの呼吸器ウイルス感染は、気管支喘息 (喘息) の発症と増悪の双方に関わっている。また、この病態には、慢性の好酸球性気道炎症が関与することが示唆されている。しかしながら、これらの機序の詳細は、依然不明である。そこで本研究は、RSウイルス感染させた喘息モデルマウスを用いて、好酸球性気道炎症やサイトカイン産生などを検討することにより、RSウイルス感染により引き起こされる喘息の発症および増悪にどのような因子が鍵となるのかを明らかにし、新たな喘息治療に寄与することを目的とする。 卵白アルブミン (OVA) を腹腔感作、吸入暴露したマウスの喘息モデルに、RSウイルスを鼻腔より投与し、各群 (対照群、RSV投与群、OVA投与群、OVA/RSV投与群) のマウスを挿管し、人工呼吸器管理下で、種々の解析を行った。最終年度は、23種類のサイトカイン/ケモカイン (IL-1ra, IL-1β, IL-2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12[p40], 12[p70], 13, 17, Eotaxin, G-CSF, GM-CSF, IFN-γ, KC, MCP-1, MIP-1α, MIP-1β, RANTES, TNF-α) をLuminex system (Bio-Rad) により測定した。その結果、BALFでは、対照群、RSV投与群、OVA投与群に比べ、OVA/RSV投与群でMIP-1αのみが有意に増加した。一方、血清では、対照群に比べ、OVA投与群でIL-5が有意に高く、OVA/RSV投与群でIL-17が有意に増加していた。また、IL-10は、対照群に比べRSV投与群で有意に高く、その亢進は、OVA投与群およびOVA/RSV投与群で有意に低下した。これまでの結果より、RSウイルス感染喘息マウスでは、MIP-1αなどを介して好酸球性炎症が惹起されること、IL-10は、その病態に抑制性に働く可能性が示唆された。
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