研究課題
巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis: FSGS) は、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を呈して末期腎不全に進行し、さらに、腎移植後、高率に再発して移植腎機能廃絶に至る難治性腎疾患である。その病因と病態は不明な点が多く、腎移植前に再発を正確に予測することは困難である。本研究では、腎移植を受けたFSGS患者の大規模かつ網羅的な(臨床所見＋病理所見＋エキソーム解析による遺伝子異常) データベースを構築し、統計学的手法を用いて再発予測因子を明らかにして腎移植後再発予測法の確立をめざす。本年度は、まず東京女子医科大学における既移植FSGS患者について、網羅的データベースの構築のために、臨床経過の見直し、病理所見の再検証、そしてエキソーム解析による遺伝学的検査を実施した。病理所見は、過去の評価のみでは不十分と考えられた場合、保存検体を用いて再検証を行った。同様に遺伝学的評価についても、現在の検査手法（全エキソーム解析）を用いて改めてスクリーニングを施行した。得られた遺伝学的知見は、エキスパートパネルにおいてその病原性などを検討した。特に既報のない遺伝子変異が候補となった症例については、病原性の評価のためにさらなる精査を進めている。また、FSGSは希少疾患であることから、本研究では全国の主要な腎移植実施施設と協力し症例集積を計画している。そのため本年度は協力施設における倫理委員会の承認作業を進めている。
2: おおむね順調に進展している
網羅的なデータベースの構築作業は、まずは自施設の既移植FSGS患者において順調に進んでおり症例数を重ねることができている。協力施設においては、各施設での倫理委員会承認作業を経て、症例集積を進める予定である。
自施設においては、比較的古い年代の既移植FSGS患者まで遡って網羅的データ収集を進めていく予定である。また、協力施設における倫理委員会の承認作業を進め、全国規模での症例集積を進める。
学会参加費を計上しなかったためおよび遺伝子解析費用が割引になり予定よりも安価になったため。症例を増やし、次年度の遺伝子解析費用等に充当する。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 7件、 招待講演 10件)
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