研究課題/領域番号 |
18K07859
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
三宅 紀子 日本医科大学, 医学部, テクニカルスタッフ (00421206)
|
研究分担者 |
三宅 弘一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90267211)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 遺伝子治療 / 異染性白質ジストロフィ- / アデノ随伴ウイルス / リソゾーム病 |
研究実績の概要 |
リソゾーム酵素欠損症では、一般的に酵素補充療法の有効性が期待できるが神経変性を伴う疾患に対しては血液脳関門(Blood brain barrier:BBB)の存在が大きな障害となり有効な治療戦略が立てられていない。本研究では脳全体の広範な神経変性を伴う、異染性白質ジストロフィー(Metachromatic leukodystrophy:MLD)の非侵襲的かつ安全で脳神経組織に対する長期の酵素補充療法が出来る革新的な治療法の開発を目的としている。本研究では成体マウスにおいても治療が可能となるように、既存のAAVベクターの改良及び治療タンパクの改変を行い、脳神経組織治療に最良のベクターの選択を行う。 今年度は (1)投与方法の検討:MLDは中枢神経系のみならず、末梢神経の障害や肝臓、腎臓などの臓器などにもスルファチドの蓄積が認められる。全身投与により肝臓、腎臓などの各臓器の改善と共に中枢神経系の広範囲への遺伝子導入、または髄腔内投与による末梢神経への導入効果を検討。 (2)解析方法の検討:今まで遺伝子導入効率の解析としてqPCRによる導入効率を検討してきたが、微量のものは検出することが出来なかった。そこで今年度はより微量なものを検出できると言われているdegital PCR(ddPCR)にて判定を試みる。 (3)治療ウイルスの精製:大型動物(サル)で使用するためには、self-complementary Adeno-associated-virus (scAAV) type9 治療ベクターが大量がに必要となるため、大量精製を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)投与方法の検討 : self-complementary Adeno-associated-virus (scAAV) Type9ベクターを用いて成体マウスに静脈注射することにより改善を認めた。今年度は髄腔内投与を試み、未治療群と比べ、抹消神経の改善を確認することができた。 (2)解析方法の検討 : 今年度新たに導入された機器(ddPCR)を立ち上げ、検量線を使用することなく、今まで判定不能だった微量の導入効率を算定することに成功した。今後、この機器を用いて、ウイルス力価の判定にも大いに役立つことと思う。 (3)治療ウイルスの精製: 来年度大型動物(サル)で使用するための、scAAV Type9 ベクターの大量精製を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、今までの結果より、scAAVベクター Type9ベクターが最も脳神経組織に適していることが確認できたので、大型動物(サル)を用いて治療用AAVベクターの静脈投与、髄腔内投与を行い、脳神経組織における酵素活性、分布等を検討すると共に、マウスにおける実験と同様に安全性の評価も行い臨床応用を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は大型予算の必要がなく、次年度の繰り越すことになった。
|