最終的に、2021年1月に発生した、1999年製Shimadzu GC/MS QP5050ANCの故障に関しては、修理部品保管期間を過ぎているため2021年2月18日にShimadzu社より修理不能という通達を受けた。その後、中古品の部品調達を各方面に当たったが、さすがに古すぎて、海外も含め現物は発見できなかった。代替案として、Shimadzuの依頼測定システムを利用して、検体の前処理をこちらで行った後、Shimadzuで測定を継続してもらうことも考えたが、一件当たり5000円なので、全部の検体を測定すると300万円以上と膨大な費用が掛かることが判明した。そこで、再度、別の中古品の購入を目指して業者を虱潰しに当たってみたが、最低でも500万以上の費用が掛かり、しかも保証も得られないので、最終的に研究続行は不可能と判断した。 したがって、今回の成果は、超微量検体による24種類の脂肪酸精密同時測定方法の開発に留まることとなった。具体的には、10μL血漿に内部標準物質として、C23:0を加え、一旦真空化で乾固した後、tolueneに再溶解し、メチル化処理後、NICI-GCMS分析にかける方法で、最終測定まで3時間と、現実的な短時間での測定が可能である。脂肪酸量を相対比(%molあるいはwt%)のみで評価した場合、ある脂肪酸が数倍に増加すると、他の脂肪酸はたとえ量が増えても、相対比は低下するので、実際の動態を把握するのは困難である。したがって、全血漿をまとめて、遊離型およびエステル型脂質双方の、実際の濃度を定量することは大きな意味があると思われる。
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