• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

ジストロフィンDp71による筋衛星細胞の分裂制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K07861
研究機関神戸学院大学

研究代表者

松尾 雅文  神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 特命教授 (10157266)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードDuchenne型筋ジストロフィー / ジストロフィンDp71 / 衛星細胞
研究実績の概要

Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)では、骨格筋にある筋衛星細胞の分裂が抑制され、筋前駆細胞の産生障害がある。ジストロフィンDp71(Dp71)は、細胞分裂を抑制する新しい分子として近年大きく注目されている。しかし、Dp71は骨格筋には発現しないとされ、衛星細胞の分裂制御とDp71との関連は未解明である。申請者は、つい最近Dp71が骨格筋でも発現していることを世界に先駆けて明らかにした。このことは、骨格筋における唯一の分裂細胞である衛星細胞にDp71が発現していることを強く示唆した。本研究は、衛星細胞の核にDp71が発現することを明らかにするとともに、その発現を阻害したり過剰発現させたりすることにより、Dp71が衛星細胞の分裂を制御することを明らかにするものである。よって、Dp71が衛星細胞の分裂制御因子であることを示す世界で初めての最先端研究である。
本研究では、ヒト筋衛星細胞の核にDp71が発現すること、そして衛星細胞の分裂をDp71が制御していることを明らかにするものである。本年度の研究において、ヒト衛星細胞の RNAから全長のDp71mRNAのRT-PCR法による増幅に成功した。さらに、その塩基配列の解析により特異なアイソフォームが発現していることを明らかにした。また、Western blot法によりDp71タンパクの同定に成功した。こうしたことにより、Dp71の発現をmRNAとタンパクの2つのレベルで確認した。今後、筋衛星細胞にDp71の過剰発現あるいは発現阻害をはかり、それぞれの条件下での細胞分裂を解析することを計画している。さらに、Dp71が筋衛星細胞の細胞分裂を制御している分子であることを明らかにする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト衛星細胞でDp71が発現することを明らかにすることにまず着手した。骨格筋衛星細胞におけるDp71の発現を明らかにするために、ヒト衛星細胞のRNAとタンパクを入手した。そして、RT-PCR法によりDp71mRNAの検出をはかった。Dp71はDMD遺伝子の産生するアイソフォームの1つで、構成するエクソンのうちエクソンG1のみがDp71に特異的で、他のエクソンは他のDMDアイソフォームと共通である。そこで、エクソンG1とエクソン79にプライマーを置いてDp71の全長を一挙にPCR増幅することを試みた。その結果、ほぼ想定通りの増幅産物を得た。増幅産物塩基配列を解析することにより、Dp71と同定した。しかし、同定したDp71は非常に特有なアイソムフォーム形態をとった。すなわち、発現するDp71のアイソフォームは予想外にも唯一種で、しかも2つのエクソンを欠くものであった。このことは、衛星細胞の機能とこのアイソフォームの発現に強い関係のあることが想定された。また、ウエスターンブロッド法によりDp71タンパクの同定をはかった。まず、正常コントロールとして、人為的に発現させたDp71を得た。そして、これと衛星細胞溶解液とを同時に解析したところ、両者で同じ位置にジストロフィン抗体に反応するバンドを検出し、Dp71タンパクの発現を明らかにした。こうして、Dp71が衛星細胞で発現することをmRNAとタンパクレベルで明らかにした。当初の計画であるDp71の衛星細胞での同定に成功し、研究は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

本研究は、筋衛星細胞の核にDp71が発現すること、そして衛星細胞の分裂をDp71が制御していることを世界で初めて明らかにするものである。これまでに、衛星細胞でDp71mRNAのRT-PCR法による検出と、Western blot法によりDp71タンパクを同定した。今後、筋衛星細胞にDp71の過剰発現あるいは発現阻害をはかり、それぞれの条件下での細胞分裂を解析することを計画している。さらに、Dp71が筋衛星細胞の細胞分裂を制御している分子であることを明らかにする予定である

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Identification of the shortest splice variant of Dp71, together with five known variants, in glioblastoma cells2018

    • 著者名/発表者名
      Abdul Q Rani, Farea M, Maeta K, Kawaguchi T, Awano H, Nagai M, Nishio H, Matsuo M
    • 雑誌名

      Biochem Biophy Res Commun

      巻: 508 ページ: 640-645

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bbrc.2018.11.168.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi