研究課題/領域番号 |
18K07862
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
山本 幸代 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20279334)
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研究分担者 |
荒木 俊介 産業医科大学, 医学部, 講師 (20515481)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小児肥満 / 肥満症 / 脂質異常 / NAFLD |
研究実績の概要 |
北九州市定期健康診断で高度肥満・肥満の急進による受診勧奨によって、2016年から2018年度に当科を受診した児の精査結果を解析し、短期間での肥満度悪化の影響について検討した。対象はA:高度肥満、B:肥満の急進、C:AかつBと判定され、3回以上の計測があり肥満度経過が判定できた児139名(M:89)。3年以内に肥満度が20%以上悪化したものを短期群、それ以外を緩徐群とした。A:46名(M:28),B:71名(M:49),C:21名(M:11)であった。短期群 名(M )、緩徐群 名(M )。年齢:6.6-15.9歳、肥満度(mean±SD):41.8±18.2%、高度:41名,中等度:56名,軽度:31名,正常:11名。最終診断は、小児肥満症(OB):132名(93%)、小児メタボリックシンドローム(MS):50名(35.2%)であった。肥満重症度別検討では、すべての重症度でNAFLDの有病率が最も高く、短期群ではより高値であった。MSは18/41名、中等度19/56名、軽度12/31名、正常1/11名。短期群では中等度肥満群でもMSの発症率が緩徐群より高かった。年齢別の検討では、10歳未満では、10歳以上に比べ短期群?急激な肥満度増加者の割合は多いが合併症の発症率が低かった。 高度肥満・肥満の急進による受診勧奨によって、当科および関連施設に受診した児の受診後フォーアップの状況と、受診した児の経過について検討した。対象は平成28年度に高度肥満、肥満急進と判定、当科を受診した92名(M:54)。年齢7.1-15.9歳、肥満度10.9-126.0%。正常6名、軽度15名は指導後にフォロー終了。中等度33名と高度38名がフォロー継続となったが、約1年後に32名はフォローを自己中断していた。フォロー継続していた39中25名は肥満度改善(肥満度変化-36.8%~-1.2%)、14名は不変・悪化(0%~+7.5%)。改善した25名は初診時には小児メタボリックシンドローム10名であったが、最終評価で5名に減少していた。継続フォローしている児の64%は肥満度が改善し、病態改善が得られた例もあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学童期肥満の臨床病態の解析を進めている。また、肥満発症の経過と、臨床経過や予後との関連についても解析を進めており、臨床病態の解析に関してはおおむね計画の通りに進んでいる。マイオカインの測定も同時に行っており、臨床病態とマイオカインの変動について今後検討を進める予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
学童期肥満の臨床病態と経過の関連について解析を進めており、マイオカインの測定も同時に行っている。今後は、肥満形成までの経過、および予後とマイオカインの変動との関連にについて今後検討を進める予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者の血液検査の採取をすすめ、マイオカインの測定を行う予定としていたが、対象者の人数が予定よりも少なくなったため、測定のためのキット購入費や、試薬測定の費用を使用しなかった。次年度に検体を採取する人数が増えたため、測定キットや試薬の購入をする必要があり、次年度に生じた未使用額を使用する予定である。
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