研究課題/領域番号 |
18K07862
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
山本 幸代 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20279334)
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研究分担者 |
荒木 俊介 産業医科大学, 医学部, 講師 (20515481)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小児肥満 / NAFLD / ヘパトカイン / 超高度肥満 |
研究実績の概要 |
小児の超高度肥満でのNAFLDの病態におけるヘパトカイン関与の検討 臨床的背景と治療介入の効果との関連
小児では,重症肥満の著しい増加が問題となっている.高度肥満は成人期の死亡率に強い影響を与える重大な健康傷害である.肥満度75%以上の超高度肥満小児の臨床的背景と治療経過を検討した.対象は平成28~30年度に受診した40例(男28名,5.2-15.8歳,肥満度 75.0-153.9%).21名に不登校,発達障害,自閉症などの背景が認められた.男児3名では柔道やすもうのコーチによる増量指示があった.超高度肥満での合併症の頻度は、全例で小児肥満症、約6割で小児メタボリックシンドローム、約8割でNAFLDと診断した。1年後の経過では,受診継続していた35中25名は肥満度改善(肥満度-72.5~-1.3%),10名は悪化(+0.7~+17.1%).継続している児の71%は肥満度が改善し,病態改善が得られた. 昨年度の報告において、小児肥満では、セレノプロテインPはインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRと有意な相関関係が認められられることを報告した。(スピアマンの順位相関係数rs=0.329)。肥満度、および、ALT値との間には有意な相関関係は認められなかった。小児肥満においても、セレノプロテインPはインスリン抵抗性の指標と相関することが示された。NAFLDはメタボリックシンドロームの肝臓での表現型と考えられており、イ ンスリン抵抗性が病態に重要とされている。小児NAFLDの病態において、セレノプロテインPの重要性が示唆された結果であると考えられる。小児の超高度肥満では高度肥満よりもさらにNAFLDの合併が高い。肥満重症度との関連、治療介入の効果との関連について検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学校健診での成長曲線による肥満度異常のスクリーニングによって受診した、学童期肥満の臨床病態の解析を進めている。臨床病態の解析に関してはおおむね計画の通りに進んでいるが、ヘパトカインの測定がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
学童期肥満の臨床病態、肥満重症度、治療効果とヘパトカインとの関連の検討をさらに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、休校要請のため学校が長期間休校となり、学校健診の実施も延期せざるを得ない状況であった。2020年度後半から、2021年度にかけては、学校健診での受診勧奨による肥満小児の受診率も、2019年度と同じ状態に戻っているため、今後は、学校健診による受診勧奨で受診した肥満小児を対象として、血液検査の採取をすすめる計画である。今年度は対象者の人数が予定よりも少なくなったため、測定のためのキット購入費や、試薬測定の費用を使用しなかった。次年度に検体を採取する人数が増えたため、測定キットや試薬の購入をする必要があり、未使用額を使用する予定である。
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