研究課題/領域番号 |
18K07864
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
榎本 友美 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 研究員 (20506290)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イントロン変異 / ultraconserved elements / トポロジー関連ドメイン / トランスポゾン挿入変異 / 先天性疾患 |
研究実績の概要 |
本研究ではエクソームシーケンス、染色体検査、CGHマイクロアレイ解析でも疾患原因変異がわからない先天性疾患症例を対象に、イントロン重要配列上の変異、トランスポゾン挿入変異の探索を行っている。イントロン重要配列としてはイントロンで疾患を引き起こす可能性のある重要配列として近年注目されたultraconserved elements (UCEs)、topology associating domain(TAD)境界領域等に注目し解析を行っている。 今年度はCGHアレイデータを用いたイントロン重要配列(UCEs)を含むCopy Number Variation(CNV)探索を行った。本研究グループではこれまで約1400症例のCGHマイクロアレイ解析を行っているが、そのうち87症例に臨床的意義不明のCNVが検出されている。これらは非常にまれなCNVではあるがその領域やCNVに含まれる遺伝子では患者の臨床情報との関連性がわからなかったCNVである。Bejerano G et al.の論文で報告された481個のUCEsが、この臨床的意義不明とされたCNVに含まれるかどうか解析を行った。結果、6つの臨床的意義不明CNV領域にUCEsが含まれていることが分かり、現在詳細を解析中である。TAD境界領域についても同様に検索を進めている。トランスポゾン挿入変異の探索はパネルエクソーム解析を行った271症例のデータを対象に行った。結果、検出された挿入トランスポゾンのほとんどは多型であったが、10症例においてまれなトランスポゾン挿入変異が見つかった。それらはイントロンもしくは劣性遺伝形式をとる遺伝子内の挿入等であり患者の症状に直接関連する変異ではなかったが、トランスポゾン挿入は上述のように順調に検出されている。引き続き新たな症例を対象に解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた既存のCGHアレイデータを用いたイントロン重要配列を含むCopy Number Variation(CNV)探索は順調に進んでいる。現在UCEsが含まれていた臨床的意義不明の6つのCNVについて詳細に解析中である。TAD境界領域についても同様に検索を進めている。エクソームデータを用いたトランスポゾン挿入部位の探索も予定通り進んでおり、今後新たな症例を対象にさらに解析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、既存のCGHマイクロアレイを用いたイントロン重要配列上の変異、パネルエクソームデータを用いたトランスポゾン挿入変異の探索を行っていく予定である。また今後いくつかの症例については新たに全ゲノムシーケンス(もしくはUCEs、TAD境界領域ターゲットパネルシーケンス)等を施行し、患者の症状と関連するイントロン重要配列上の変異を検索していく予定である。変異が見つかった場合、その病態、変異に適した手法の実験(例:患者細胞を使用したタンパク発現確認等)を行い発症メカニズムの解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会旅費等が想定よりも低く抑えられたため。次年度の研究のための消耗品費等に使用する。
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