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2022 年度 実施状況報告書

新生児糖尿病の分子基盤解明と診断・治療戦略の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K07867
研究機関旭川医科大学

研究代表者

鈴木 滋  旭川医科大学, 医学部, 講師 (80516394)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード新生児糖尿病
研究実績の概要

1.6q24関連新生児一過性糖尿病の遺伝子型-表現型解析
6q24-TNDMと遺伝学的に診断した日本人32例の出生歴、糖尿病の経過および合併奇形について解析した。父性片親性ダイソミー(pUPD6)18例、非メチル化6q24重複10例(1例はtriplication)、メチル化消失(エピ変異)4例であった。6q24重複例のうち、4例において、TNDM既往のない父が6q24重複を有しており、うち2例は非メチル化6q24重複であった。エピ変異の原因となり得るZFP57遺伝子変異についても検討したが、病的バリアントは同定されなかった。本邦におけるエピ変異の割合が少ないことはZFP57遺伝子変異が認められないことに起因することが示唆された。さらに、6q24重複例においては、3コピー発現例が認められ、幼児期においても寛解が認められず、必ずしも乳児期に寛解しない可能性も示唆された。
2.Wolfram症候群の新規病的バリアント同定と診断指標についての検討
Wolfram症候群は新生児糖尿病の1つであるが、それ以降の年齢においても発症する。その早期診断指標については確立した指標がない。今回、幼児期に1B型糖尿病と診断された例において、膵島関連自己抗体陰性のため、遺伝子検査によりWFS1遺伝子に新規病的バリアントを同定した。眼底検査で視神経萎縮が認められて、インスリン分泌残存の1B型糖尿病では、早期の眼底検査が本症の診断確率を上げる可能性を提案した。
3. HNF4A遺伝子異常による糖尿病への新たな治療の可能性
HNF4A遺伝子変異による糖尿病の治療の第一選択は、スルホニルウレアであるが、治療不応になる例も少なからず報告され、セカンドライン治療については確立したものがない。今回、追加治療としてSGLT2阻害薬が有効である可能性を、インスリン分泌の検討を合わせ報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新生児糖尿病臨床診断基準の作成に関し、対照となる一過性高血糖患者の症例数が不十分であり、症例を蓄積中である。
新生児糖尿病の予後調査について、フォロー状況の確認に時間を要している。

今後の研究の推進方策

原因不明症例に対し、既知責任遺伝子を含む68遺伝子を搭載したパネルおよび膵β細胞機能に関わる65遺伝子を搭載した2つのパネルを用いて、targeted next generation sequencingを行う。また病原性不明変異の意義について家系解析および基礎実験により検討していく。
網羅的パネル解析で遺伝学的に新生児糖尿病と確定した症例と、それ以外の未熟児における一過性高血糖について、血糖コントロールマーカーやC-ペプチド、インスリン値、発症時期を検討し、両者を鑑別するカットオフ値の設定を行う。
これまで解析を行った症例の予後調査を行い、原因遺伝子毎の臨床像を明らかにし診断、治療指針を提案する。また、我々の検討から非メチル化6q24のコピー数増加が必ずしも糖尿病を来さない可能性が示唆され、この遺伝性についても検討していく。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子解析が終了しておらず、それに伴う成果発表(学会発表、論文投稿、出版)が未施行である。これらに対する消耗品、出版に当てる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Early Diagnosis of Wolfram Syndrome by Ophthalmologic Screening in a Patient with Type 1B Diabetes Mellitus: A Case Report2023

    • 著者名/発表者名
      Takahide Kokumai, Shigeru Suzuki, Noriko Nishikawa, Hinako Yamamura, Tokuo Mukai, Yusuke Tanahashi, Satoru Takahashi
    • 雑誌名

      J Clin Res Pediatr Endocrinol

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.4274/jcrpe.galenos.2022.2022-4-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SGLT2i as a Useful Adjunctive Medication for HNF4A-MODY2023

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Suzuki, Takahide Kokumai, Akiko Furuya, Satoru Takahashi
    • 雑誌名

      Diabetes Care

      巻: 46 ページ: e74, e75

    • DOI

      10.2337/dc22-1573

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Paternally derived chromosome 6q24 triplication causes neonatal diabetes mellitus2023

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Suzuki1, Kanayo Ochiai2, Yuichi Nishikado
    • 雑誌名

      Horm Res Paediatr

      巻: 96(suppl 2) ページ: 91, 91

    • DOI

      10.1159/000529083

  • [雑誌論文] Long-term sensor-augmented pump therapy for neonatal diabetes mellitus: a case series2022

    • 著者名/発表者名
      Yuya Fukuda, Akira Ishii, Hotaka Kamasaki, Shintaro Fusagawa, Kojiro Terada, Lisa Igarashi, Masaki Kobayashi, Shigeru Suzuki, Takeshi Tsugawa
    • 雑誌名

      Clin Pediatr Endocrinol

      巻: 31 ページ: 178, 184

    • DOI

      10.1297/cpe.2022-0005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Paternally derived chromosome 6q24 triplication causes neonatal diabetes mellitus2023

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Suzuki, Kanayo Ochiai, Yuichi Nishikado
    • 学会等名
      11th International Meeting of Pediatric Endocrinology - IMPE2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 新生児糖尿病の理解を深める2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 滋
    • 学会等名
      第 55 回日本小児内分泌学会学術集会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Neonatal Diabetes: Etiology, Diagnosis and Management2022

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Suzuki
    • 学会等名
      The 12th Biennial Scientific Meeting of the Asia Pacific Paediatric Endocrine Society 2022
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] SU薬の追加治療としてSGLT2阻害薬が有効であったHNF4A-MODYの一例2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 滋、國米 崇秀、古谷 曜子、髙橋 悟
    • 学会等名
      第 55 回日本小児内分泌学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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