エクソンスキップなどの現象は遺伝子の変異により引き起こされ、疾患に関わっている。変異は主にイントロン内のSNPによって引き起こされるが、メカニズムは既存のスプライシング予測プログラム等では解決不能であるものの解析を進めている。これは、保存されている配列から予測されたシスエレメントが実際に選択性の制御に関わっているか否かの解析にはシミュレーションでは未解決であり、スプライシングに関わる部位のコンセンサス配列は高等生物ではかなり緩いものであるため、未だに何らかの実験的な解析手段が不可欠である。 塩基変異で疾患とスプライス変異と関連性のある症例について解析を行った。この中でエクソンの途中からイントロンにかけて6.8kbの欠失の症例について多方面から解析を行った。患者RNAよりPoly(A) SelectionのRNA-seqを行い、変異による異常なスプライスを含む転写産物の同定を試みた。StringTieを用いてマッピング結果から遺伝子発現量を転写産物の発現量を isoform 毎に計上した。この結果エクソンの途中からイントロンを含んで次のエクソンまで連続したisoformを検出した。この結果から4kbと長大なエクソンを生じたものの、正常なisoformと同じ発現量であった。 これは、本来あったドナー部位の消失により、次のエクソンのドナー部位を用いてスプライシングが行われてmRNAが生じているものと推察された。この影響のあったエクソンの前後エクソンを含む10kbの領域でミニジーンアッセイを行い、これ以外のisoformが生じるかの検討を行った。RNA-seqと同様なスプライス変異のみが検出され、スプライシング予測ソフトによるイントロンのドナー部位は使用されていなかった。
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