研究課題/領域番号 |
18K07876
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高桑 徹也 京都大学, 医学研究科, 教授 (40244933)
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研究分担者 |
山田 重人 京都大学, 医学研究科, 教授 (80432384)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒト胎児 / 画像データベース / MRI / 位相CT / 立体解剖データベース |
研究実績の概要 |
“京都コレクション”に属するヒト胚子のMR画像、位相CT画像、連続組織切片等を出発材料として、コンピュータ上で再構成を行い、発生段階ごとに3次元可視 化、定量化を行った。各発生段階の正常形態、計測標準値の確立をめざした。全身各器官で、下記のような検討がなされ論文化した。昨年度の実績に下記が新たに追加された。脳神経:胚子期に一過性にみられる頸部の膨隆について、その機序を組織学的に検討した(Ohga et al, 2020). 胸郭:肋骨の形態形成について3D座標を取得し検討した。肋骨は部位によらず共通の形態の変化により作られ、制御する因子も少ないと考えられた(Matsubayashi et al, 2019, Okuno et al, 2019)。気管支:気管支形成の特徴について記載した(Fujii et al, 2020). 消化管;生理的ヘルニアの還納過程で、消化管は腹腔内に手繰り寄せられるのではなく、むしろ腹壁がもち あがり消化管を包む”wrapping”が起きていることを示した (Nagata et al 2018)。回盲部の移動についても検討した。胚子期、消化管は大きい肝臓に押し出され臍帯内に脱出すると言われてい る。われわれは、肝臓の大きさに無関係に消化管は臍帯へ脱出することを示した(Kanahashi et al 2018)。腎臓;腎臓が発生時に上昇し回転することは教科書に 書かれているが、その動きを3Dでしっかり観察し、集合管尿路系の形成との関連で論じた(Ishikawa et al 2018)。腎小体の分布、集合管尿路系への結合の特徴とその影響についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
画像データベースとして昨年度からさらにMRI15例、位相CT50例の新規の画像取得ができた。取得画像を用いて脳、感覚器、消化管、腎臓等主要器官の解析に加え、心臓、上肢帯、呼吸器等の解析が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
画像データベースをより充実させる。引き続き、全身各臓器の解析を進める。座標取得等を行い、数理統計学的解析が進むようにする。座標データを用いたモデ ル作成を進める。 予定していた標本のMRI撮像が、諸事情で昨年度一時中断することになった。MRI撮像は1体約45000円の費用が必要であるが、繰り越した助成金で、本年度MRI撮 像の費用を賄う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像取得が事情により計画より若干少なかったこと、コロナウイルス感染症により学会出張が中止になったことによる。 来年度、画像取得を多く行う。
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